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肥満で歯周病悪化 微小物質が関与 岡山大助教ら タンパク質阻害確認

丸山貴之助教

 岡山大の丸山貴之助教(予防歯科学)らのグループは、肥満になると、タンパク質の生成を阻害する2種類の微小物質「マイクロRNA」が多く発現して歯周病を悪化させる仕組みを、ラットによる研究で確認した。

 細菌に感染して発症する歯周病は、歯を支える骨などが溶けてしまう炎症性の疾患。肥満になると、歯周病になりやすいことは分かっていたが、そのメカニズムは不明だった。

 丸山助教らは、いずれも歯周病で、肥満にしたラット8匹と、標準体重の8匹を比較した。心臓から採取した血液0・1ミリリットルを特殊な方法で分析。肥満群は「miR―759」「miR―9a―3p」という2種類のマイクロRNAが標準体重群の約2倍多く発現していた。

 一方、体内でタンパク質をつくるよう指示する遺伝物質「メッセンジャーRNA」の発現量も測定。歯肉50ミリグラムを調べたところ、肥満群は、歯を支える骨の再生を促す「P2ry13」など3種類のメッセンジャーRNAが標準体重群の半分程度しか発現していなかったという。

 丸山助教らは、脂肪細胞から発現したとみられるマイクロRNAが、メッセンジャーRNAに悪影響を与え、歯肉や歯を支える骨のもととなるタンパク質の生成を阻害。歯周病を悪化させていると結論付けた。

 丸山助教は「ヒトも同じような生体反応が起きていると考えられる。研究を進め、適正な治療に役立てたい」と話している。

 研究成果は、デンマークの学術誌に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年07月03日 更新)

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