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(1)検診のお話 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院理事長・院長 竹馬彰

竹馬彰氏

 市町村のがん検診では、胃がんについては50歳以上の方を対象に2年に1度、エックス線検査もしくは内視鏡検査を、大腸がんについては40歳以上を対象に毎年便潜血検査を行うようになっています。会社にお勤めの方は企業が用意した健康診断の中にそれらが組み込まれていることも多いでしょう。

 これらの検査は症状がない方のがんを早期に発見するために行われているもので、科学的にがんによる死亡率を下げることが実証されています。進んで受けるようにしましょう。

 胃がん検診は以前バリウムを飲むエックス線検査だけで行われていましたが、現在は内視鏡検査も選べるようになりました。エックス線検査よりも内視鏡検査のほうが胃の粘膜の状態を直接見ることができるので、特に早期のがんの発見には優れています。

 検診費用とは別に保険診療の負担がありますが、がんが疑われる部分があれば検査のときに細胞を採取することもできます。ただ、内視鏡検査は苦手という方も多いのも事実です。まずはエックス線検査を受けてみるのも選択肢です。

 大腸がん検診で行われている便潜血検査は2日間便の一部を採取し、中に血液がないかを見ています。現在行われている方法では歯茎や胃からの出血ではよほど大量に出ない限り異常の判定は出ません。大腸から肛門までの間のどこかで出血していることを示していますが、がんそのものを見ているわけではありません。精密検査を受け大腸がんを早期に発見するきっかけと捉えていただければいいかと思います。

 ですので便潜血陽性の結果が出たからと言って怖がる必要はありません。大腸内視鏡検査などの精密検査を受けてください。

 ただしがん検診で「異常なし」と判定されても100%「がんはありません」ということにはなりません。

 特に「検診を受けたときには症状はなかったが最近調子が悪い」など、症状がある場合には次の検診までまたずに医療機関を受診することをお勧めします。

 がんの治療もずいぶんと進み、早期に発見できれば治る病気になってきました。ぜひ検診を受けてください。

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 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院(086―485―1755)

 ちくば・あきら 倉敷天城高校、香川医科大学(現・香川大学医学部)卒。栃木県立がんセンター、恵佑会札幌病院を経て、1992年、チクバ外科・胃腸科・肛門科病院に勤務。2000年に副理事長。12年に理事長に就任し、18年から院長兼任。日本大腸肛門病学会指導医、外科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医など。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年07月18日 更新)

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