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感染拡大 発熱外来の受診急増 県内、一般診療への影響懸念

発熱外来で患者を診察する国富院長(右)=26日、くにとみクリニック

 新型コロナウイルスの流行「第7波」の勢いが止まらない中、岡山県内の医療機関が設ける発熱外来で受診者が急増している。県内の1日当たりの新規感染者は27日から4日連続で2千人を超え、収束の見通しも立たない。医療関係者は「爆発的な感染拡大。一般診療に大きな影響が及ぶのは時間の問題だ」と危機感を募らせる。

 「熱が出たのはいつからですか」「家族で感染した人は」

 26日午前、くにとみクリニック(総社市門田)の発熱外来。駐車場に設けたプレハブの診察室で、國富慎一郎院長が患者を診察していた。症状は発熱に喉の痛み、倦怠(けんたい)感など。PCR検査のため、細い綿棒を患者の鼻の奥に差し込み、粘膜を採取した。

 7月中旬まで1日に10人以下だった発熱外来の受診者が増え始めたのは、3連休が明けた7月19日から。1日に20人を超す患者が来院し始め、約40人が受診した日も。長男で医師の衛氏と手分けをして対応している。國富院長は「陽性率は7割超。このまま増えれば、いずれ他の疾患の診療に対応できなくなる」と話す。

 たかや内科小児科(倉敷市中島)でも、それまで1日当たり4人程度だった発熱外来の受診者は7月19日以降、10~15人に増加しているという。

 街の診療所やクリニックだけではない。院内の1室を発熱外来にして対応する玉野市民病院(玉野市宇野)では6月までは1日当たり2、3人程度だったが、約20人が訪れるように。山原茂裕院長は「当初は子どもや若い世代が多かったが、重症化リスクの高い高齢者も増えている」とする。

 日曜日もPCR検査を行う岡山市立市民病院(岡山市北区北長瀬表町)の発熱外来には平日は1日平均150人、日曜は同200人が訪れる。感染が比較的落ち着いていた6月の4~6倍に当たる多さだ。

 今年に入り始まった流行「第6波」では、医療機関のスタッフが感染者や濃厚接触者となり、出勤できなくなるケースが県内でも相次いだ。今回の「第7波」でも発生しており、市民病院では医師や看護師ら40人のスタッフが出勤できない日があったという。

 今城健二副院長は「32床あるコロナ専用病床も3分の2ほど埋まっている。一般医療の提供も含め状況は厳しくなる一方」と話す。

 子どもたちの間では今、発熱を伴い、肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症もはやっている。コロナと同時流行となっており、やまもとこどもクリニック(同内山下)では1日当たり約40人の子どもが発熱外来を受診している。山本明子院長は「夏休みになり、子ども同士の接触は減るが、行動制限は出されていない。感染はさらに広がるのではないか」と危惧した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年07月30日 更新)

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