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(4)まぶたで困っていませんか?(眼瞼下垂、眼瞼痙攣、さかまつげ) 岡山ろうさい病院形成外科部長 小松星児

小松星児氏

 人間が情報を得る際、視覚に8割を頼るといわれています。また、顔の印象を決める最も重要な部分は目だといわれています。目は、機能だけでなく外見においても重要な役割を果たします。今回は、まぶたについてのお話を致します。

 ■眼瞼下垂(がんけんかすい)

 まぶたが垂れ下がると、黒目が隠れてしまい見づらくなります。また、肩こりや頭痛が起きることもあります。原因のほとんどは老化とコンタクトレンズですが、緑内障の目薬なども原因になります。

 治療の基本は手術です。皮膚がたるんでいる場合は、余った皮膚を切除します。まぶたを開ける筋肉が弱っている場合は、筋肉を縫い直します(眼瞼挙筋前転術=がんけんきょきんぜんてんじゅつ)。

 手術は健康保険が使用できます。日帰り手術も可能ですが、持病がある場合などは1泊入院をお勧めします。日常生活の制限はありません。ただ、2週間ほどまぶたが紫色に腫れますので、人前に出づらくなります。

 ■眼瞼痙攣(けいれん)

 まぶたの周りの筋肉が勝手に動いてしまい、うまく開けられなくなります。まぶしさや異物感などの症状が出ることもあります。原因ははっきりしないことが多いです。治療は筋肉を和らげる注射(ボツリヌストキシン)が主体になり、脳神経外科と協力して治療にあたっています。効果が無い場合は手術することもあります。

 眼瞼痙攣と眼瞼下垂は、症状が似ており間違われやすいです。しかし、原因も治療法も違いますので、しっかり診断して区別することが重要です。

 ■さかまつげ

 生まれつきまつ毛が内側を向いている「睫毛内反(しょうもうないはん)」と、老化でまぶた全体が内側を向く「眼瞼内反」に分けられます。まつ毛が眼球に当たると、かゆみや痛みを起こすだけでなく、視力が低下することもあります。

 まつ毛を抜いても根本的な解決にはなりません。症状が強い場合は手術をお勧めします。下まぶたの場合は、まつ毛の近くを切ってまぶたを外に向けます。上まぶたの場合は、二重まぶたにして、まつ毛を外に向けます。

 手術は健康保険が使用できます。日帰り手術も可能ですが、小学生以下の場合は全身麻酔が必要なため1泊入院になります。眼瞼下垂の手術と同じく2週間ほどまぶたが腫れますので、時期を選ぶ必要があります。

 以上のような悩みがございましたらぜひご相談ください。事前に近隣の眼科で紹介状を書いていただくと、待ち時間が短くなり診察料も安くなりますので、ご検討ください。

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 岡山ろうさい病院(086―262―0131)

 こまつ・せいじ 土佐高等学校、高知医科大学医学部卒、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。倉敷中央病院、岡山大学病院、岡山済生会総合病院などを経て、2017年より岡山ろうさい病院に勤務。岡山大学形成外科臨床准教授を兼任。日本形成外科学会専門医・指導医。日本創傷外科学会専門医。医学博士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年10月04日 更新)

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