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病院の清掃管理 デジタルで効率化 ブルー社などシステム共同開発

「クリーンボス」の利用画面。清掃員がスマートフォン入力した清掃状況は、パソコンの管理画面でリアルタイムに把握できる

 清掃業などのブルーオーシャンスマートシステムズ(岡山市北区平野)とIT業のクリエイティブリンク(同)は、病院の清掃業務管理システム「クリーンボス」を共同開発した。病院と清掃員の間での指示や報告はアナログのやりとりが多く、業務効率化やスタッフの動きの可視化などに役立つデジタルツールとして売り込みを図る。

 両社によると、患者のいる部屋は床やトイレ掃除、ごみ回収といった簡易な作業が中心だが、退院したばかりの部屋は消毒やシーツ交換など作業が多くなる。部屋ごとの作業内容が日々異なるほか、感染症予防のため清掃の順番も考慮するケースがあり、一般の施設の清掃と比べて指示や報告が煩雑になる。

 同システムでは、病院側は各部屋の状況を「在室」「退院」「空室」といったタブから選択。作業内容も選び、必要に応じて時間などと合わせて指示する。電子カルテと連動させれば、入退院の日時や病名をシステムが共有するため自動指示も可能になるという。

 清掃員はタブレット端末で当日の作業内容を確認しながら業務に当たる。各病室では清掃の開始と終了時にボタンを押して情報を送信する。システムの画面上では清掃済みの病室の色が変わるなど作業状況をリアルタイムに表示するため、病院側はその日に入院する患者をスムーズに部屋へ案内できる。感染症の拡大を防ぐため「汚染エリア」を色分けして表示したり、汚染エリアから一般病室へ立ち入る際はアラートで注意したりする機能もある。

 さらに蓄積されたデータを活用し、作業に要した時間や平均値とのかい離を、日別や清掃員別などでグラフにするサービスも盛り込んだ。作業計画の立案やスタッフの能力の見極めに生かしてもらう。

 システムは病院清掃を請け負うブルー社が、紙への手書きやPHSでのやり取りといった非効率な手法を改善しようと、同社が出資するクリエイティブ社に打診して開発した。利用料は清掃員の数によって異なり月額11万円から。カルテとの連動などカスタマイズが必要な場合は導入費が別途かかる。国のIT導入補助金の助成対象。既に倉敷中央病院(倉敷市美和)や倉敷成人病センター(同市白楽町)などが採用しており、今後全国展開を進める。

 クリエイティブ社の会長も務めるブルー社の白井典之社長は、「病院スタッフが看護などの業務に注力する、連絡ミスなどのヒューマンエラーを減らすといった改善に役立つ。入院患者の入れ替わりが多い急性期医療を担う病院を主顧客に見据えて売り込んでいく」と話している。

 ブルー社は2012年設立。資本金500万円、従業員数70人(パート含む)、22年3月期売上高は2億円。クリエイティブ社は14年設立、資本金1200万円、従業員数40人、21年9月期売上高は10億円。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年11月08日 更新)

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