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(5)化学療法および化学療法センターについて 津山中央病院内科部長化学療法センター長 武田洋正

化学療法センターの全スタッフ

津山中央病院の化学療法センター

武田洋正氏

 がんの治療法としてはいろいろなものがありますが、化学療法(抗がん剤)についてはいまひとつイメージがわかない方もおられると思います。

 抗がん剤は歴史的にさまざまな治療薬が開発されてきましたが、有効であるということが科学的に証明された治療のみが「標準治療」として残っていきます。当院でも、科学的証拠に基づいた薬剤を選択して使用しています。

 標準治療というと、さらによい治療が存在するように誤解されがちですが、がん治療の世界での標準治療は、本来は「最良治療」とでも表現するべきものであり、現時点でのベストの治療という意味です。

 当院は、国内という意味でも県内という意味でも比較的人口の少ない地域に位置しますが、「地元の医療機関」で「標準治療」を患者さんに届けることを一つの目標として、日々の業務にあたっています。

 実際にがん治療を受ける場合、遠方の医療機関へ通院することが現実的ではないことも多く、近くの病院での診療が可能であることは、患者さんにとって大きなメリットです。当院の化学療法センターでは、常勤の医師が勤務する診療科については、ほぼ全ての標準治療を行うことができます。

 がんの診療は全ての側面で進化を遂げていますが、特に化学療法(免疫療法含む)の治療効果および副作用については、大きく改善しています。

 以前は化学療法を入院で行うのが常識でしたが、現在では通常外来で行っており、当院でも特別な事情がない場合は外来にて施行しています。近年、化学療法の副作用は軽くなっており、多くの場合外来での続行が可能です。また内服の抗がん剤も増えています。

 当院でもさまざまな抗がん剤を使用していますが、医療者にとっても患者さんにとっても特別な注意が必要な薬剤もあります。そのため、専門知識を持つスタッフの対応が望ましいと考えられ、当院での外来化学療法は全て化学療法センターで行っております。

 化学療法センターというと、「抗がん剤を点滴するだけの場所」というイメージでとらえられることもありますが、それは化学療法センターの機能の一部にすぎません。患者さん本人およびご家族に、副作用の管理に対するアドバイスや、精神面のサポートを行うことも重要な機能の一つです。

 他に看護師、薬剤師、栄養士、歯科スタッフなどとの連携により、さまざまな角度から患者さんとご家族がより良い日常生活を過ごしていただけるように努力しております。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)

 たけだ・ひろまさ 鳥取大学医学部卒、岡山大学大学院博士課程修了。岡山大学病院、鳥取市立病院等を経て、2015年より津山中央病院に勤務する。22年4月より化学療法センター長。総合内科専門医、呼吸器専門医、がん薬物療法専門医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年11月21日 更新)

タグ: がん津山中央病院

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