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小児の気管支喘息 コロナ前の4割 岡山大確認、感染対策が影響か

松本尚美助教

 新型コロナウイルスの流行後、気管支喘息(ぜんそく)と診断される小児(15歳以下)患者が大幅に減少していることを、岡山大の研究グループが確認した。京都大と関わりがある企業から提供された医療データを分析。国内でコロナ感染が目立ち始めた2020年3月以降の月平均の患者数は295・5人で、それ以前の4割に減っていた。

 研究を手がけた松本尚美助教(疫学・衛生学)は「マスク着用などコロナ対策の浸透で、呼吸器に影響するウイルス感染症にかかってしまう機会が減少。潜在的な患者の発症を食い止めているのではないか」としている。

 気管支喘息は気道の粘膜がアレルギーなどで敏感になり、炎症が長引いてしまう疾患。国によると、国内の14歳以下の推計患者数(20年10月現在)は約53万8千人。

 松本助教らはリアルワールドデータ(京都市)から提供された匿名の電子カルテデータを分析。17年1月~21年5月に喘息と診断された小児2万9845人について、20年3月を境に比較した。同2月までの月平均の患者数は668・7人だった。

 国立感染症研究所(東京)の調査では、喘息を悪化させるライノウイルスの検出数も半分に減少。松本助教は「今回は短期の調査。子どもが成長した後の影響など、追跡調査を行いたい」と話している。

 長期化するコロナ禍では医療機関への「受診控え」が起こったため、グループではアトピー性皮膚炎も同様に分析した。20年2月までの月平均の患者は353・4人、同3月以降は287・2人。気管支喘息ほどの差はみられなかったという。

 研究成果は9月、米アレルギー喘息・免疫学会誌に掲載された。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年12月03日 更新)

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