文字 

(6)化学療法および化学療法センターの看護師の役割 津山中央病院がん化学療法看護認定看護師 大谷孝代

ベッドサイドで、抗がん剤治療をする患者の話を聞く看護師

化学療法センターでの採血

大谷孝代氏

 化学療法の分野では、分子標的治療薬をはじめとする新規薬剤、新規レジメン(治療計画)の登場で生存期間の延長が望めるようになり、化学療法を行う患者さんは増えています。

 当院の化学療法センターは20床あり、全てリクライニングベッドとなっています。各ベッドはパーティションで区切られていてリラックスして治療が受けられるようにしています。声をかけていただけば、すぐに看護師が対応できるようになっています。

 センターでは、がん化学療法看護認定看護師1人を含む4人の看護師で日々の化学療法看護を実践しています。抗がん剤は血管への刺激も強いため、化学療法を繰り返し行っていると血管が出にくくなるので、血管の穿刺(せんし)回数を減らし採血時に点滴用の留置針を入れて、穿刺時の苦痛を少しでも軽減できるようにセンターで採血を行っています。

 自宅での副作用の状態を確認するために、患者さんには来院後すぐに問診表の記載をしていただきます。看護師は採血時に、問診表をもとに副作用出現状態を確認しています。症状によっては主治医へすぐに報告し、診察前に検査などの対応をする場合もあります。

 抗がん剤投与時は薬剤の投与速度や順序など、看護師2人でダブルチェックを行い安全に努めています。

 治療のことだけでなく、薬物療法による外見の変化に対する支援(アピアランス支援)や、治療費などの経済的な問題、仕事の悩み、療養環境や家族の悩みなど、治療中にベッドサイドでお話を伺ったり、必要であれば個室で面談させていただいています。

 治療内容によっては、栄養士による食事指導や歯科衛生士による口腔(こうくう)ケア指導も行っています。

 化学療法はがんを治したり、あるいは、がんの進行を抑えたり、症状をやわらげたりする治療ですが、使用される抗がん剤は、薬により効果や副作用は異なります。そしてほとんどの方に何かしらの副作用が出現します。中には味覚障害や末梢神経障害のように治療後の生活に関わるものもあります。

 近年注目されている免疫チェックポイント阻害剤も、時に重度の副作用が出現してきます。私たち看護師は主治医、薬剤師、栄養士、歯科スタッフ、訪問看護スタッフなどと連携し、患者さんに寄り添いながら安心・安全な治療の提供を心がけてセルフケア支援を行っています。

 患者さんが治療を受けながらでも、今までの日常生活が送れるように、また少しでも苦痛が少なく笑顔でご家族と過ごすことができるようにサポートしていきたいと思っています。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)

 おおたに・たかよ 岡山赤十字看護専門学校卒業。2003年津山中央病院に入職し外来・化学療法センターにて勤務。14年にがん化学療法看護認定看護師取得。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2022年12月05日 更新)

タグ: がん津山中央病院

ページトップへ

ページトップへ