文字 

(1)けんしん受診のすすめ 倉敷平成病院平成脳ドックセンター長 江原英樹

病気の早期発見だけでなく、一人一人の体の状態や生活状況に合わせて健康指導も行っている

平成脳ドックセンターの待合室。広々とした空間でゆったりと過ごしてもらう

江原英樹氏

 近年、長生きの指標となる「平均寿命」よりも、元気で健康に過ごすことができる年齢の指標である「健康寿命」が注目されるようになってきました。

 年齢を重ねても生き生きと過ごしたいと考える人が、最近増えてきているように思います。

 健康に過ごすことを実現するためには、病気になる前に疾患リスクを発見して予防することが重要です。たとえ病気にかかったとしても、健診を受診することで、症状があらわれる前に早期発見・治療ができれば、健康寿命の延伸にもつながります。

 日本対がん協会の調査によると、2020年に実施した五つのがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者は、新型コロナ流行前の19年と比較して、30・5%減少していたというものでした。コロナ流行下でも、がんは変わらず発生していると考えられ、20年の日本では少なく見積もっても1万人以上のがんが未発見となっていることが懸念されます。

 がん検診の受診を見送っているうちに未発見のがんが進行がんとなり、治療の選択肢を狭めてしまいかねないことも重大な問題です。

 当センターの取り組みを一つご紹介いたします。

 以前、当センターで要治療・要精密検査と判定された方から、「紹介状を持参し、他院を受診したが、『なぜこの程度で受診したのか』と言われた」というご意見をいただくことがありました。

 そこで、当年の健診結果の数値だけを基にした機械的な紹介状ではなく、検査結果の異常値や異常所見の内容と、生活習慣や年齢、既往歴、家族歴など、それぞれの方の状態を総合的に記載した「質の高い」紹介状を発行することにしました。受診者の健康増進に寄与することを目指しています。

 平成脳ドックセンターでは、人間ドックを中心に脳ドック、特定健診、特定保健指導、生活習慣病予防健診等に対応しております。各種オプション検査も取りそろえておりますので、皆さんのニーズに合わせてご活用ください。

 病気の早期発見のみならず、その原因となる危険因子を指摘し、病気にならないよう、お一人おひとりに合った食事、運動など毎日の生活習慣の具体的な改善方法を医師、看護師、保健師、管理栄養士等が分かりやすく説明・指導しています。

 新型コロナ感染を心配されている方も多くおられるとは思いますが、健診施設では感染防止対策を徹底しています。

 年齢を重ねても生き生きと暮らしていけるように、健診(検診)を受診し、ご自身の体の調子に少し関心を向けてみられませんか。

 ちなみに「健診」とは、健康診断のことを意味し、全身の健康状態をチェックし健康であるか否かを確かめるものです。一方、「検診」は特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。

     ◇

 倉敷平成病院(086―427―1111)

 えはら・ひでき 順天堂大学医学部卒業。2014年より倉敷平成病院平成脳ドックセンター勤務。21年4月よりセンター長。日本人間ドック学会健診専門医、人間ドック健診情報管理指導士など。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年01月16日 更新)

ページトップへ

ページトップへ