文字 
  • ホーム
  • お産
  • もう逆子で悩まないで! 胎児を回転させる「外回転術」

もう逆子で悩まないで! 胎児を回転させる「外回転術」

周産期センター長・産科部長
山崎 史行
操山高、岡山大医学部卒。1983年から倉敷成人病センター勤務。第47回医療功労賞受賞。日本産科婦人科学会専門医。

外回転術のイメージ

 倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)の山崎史行・周産期センター長が逆子(骨盤位)が続く場合、胎児を回転させる「外回転術」について解説する。

 ―逆子とは?

 妊娠中期まで、赤ちゃんはぐるぐると子宮内で体勢を変えますが、身体が大きくなるにつれ頭が重くなるので、通常は頭が下にきます。逆子とは、赤ちゃんの頭が下にない状態のことを言います。
 
 逆子の確率は、妊娠中期には40%程度ですが、妊娠36週までに自然に回転し頭位となり、最終的に分娩時の逆子の確率は4%前後とされています。

 ―逆子と診断されるのはいつ頃か?

 お母さんに逆子であるとお伝えする時期は、妊娠中期から後期にかけてが多く、大体33週から34週が目安になります。

 ―帝王切開になるのか?

 妊娠中には目立った症状のない逆子ですが、逆子の状態での経膣分娩は大変危険で、多くの病院で帝王切開による分娩が行われています。
 
 ―逆子を解消する「外回転術」とは?

 外回転術とは、妊娠中におなかの外から赤ちゃんを回転させる手技のことです。
 
 まず、ベッドを斜めにし、妊婦さんに横になってもらいます。この時、子宮の筋肉の緊張を緩め、赤ちゃんが回転しやすくなるように、点滴でお腹の張り止め薬を投与します。
 
 その後、超音波で赤ちゃんの向きを確認し、妊婦さんのおなかの外から、赤ちゃんの頭とお尻をしっかりと捉え、前回り、または後ろ回りに回転させます。

 ―外回転術のリスクは?

 胎盤を圧迫しないように気をつけて施術しますが、まれに胎盤が剥離して胎児心拍異常や出血などの症状が出現し、緊急帝王切開が必要となることがあります。経験値では300人に1人程度の頻度です。

 ―いつ頃行うのがいいのか?

 外回転術を受けた直後に破水した場合に備え、早産の時期を越えた妊娠36週の間に行います。
 
 ―外回転術にかかる時間は?

 早ければ1分もかからず、おおむね5分前後です。赤ちゃんの様子によって、まれですが20分ほどかかることもあります。また、外回転術は保険適用されます。

 ―これまでの実績は?

 2001年6月から2020年7月までで、初産婦632人、経産婦374人の合計1006人に実施しました。1983年から産科医をしていますので、実際はもっといらっしゃると思います。

 ―外回転術の成功率は?

 一般的にはおおよそ50%くらいです。当院では61・7%の初産婦さん、83・2%の経産婦さんが成功しています。初産婦さんと経産婦さんで回りやすさは変わりますし、赤ちゃんの姿勢や胎盤の位置によっても異なるため、受けてみたいと考えている方は一度ご相談ください。

 ―逆子で悩むすべてのお母さんへ。

 外回転術はあくまで逆子と診断された場合の一つの選択肢です。帝王切開に抵抗がない方は、初めから予定通り帝王切開での分娩を選択するのが良いかもしれません。

 自分で分娩方法を決めてお子さんを産んだというイメージを持てるよう、ご自身で産み方を選択しましょう。

【関連リンク】
・倉敷成人病センター 周産期センター
https://www.fkmc.or.jp/perinatal/
・倉敷成人病センター 産科
https://www.fkmc.or.jp/data/perinatal/dept_index/
・YouTube ひとりひとりに寄り添う医療を~倉敷成人病センターの挑戦~「授かる・産まれる・育む」


※山崎センター長の「崎」は「たつさき」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年01月16日 更新)

ページトップへ

ページトップへ