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オミクロン株 多い睡眠障害や頭痛 岡山大病院がコロナ後遺症調査

 新型コロナウイルスの後遺症に悩む患者を専門外来で診療する岡山大病院(岡山市)の調査によると、現在主流のオミクロン株に感染した後に睡眠障害や倦怠(けんたい)感、頭痛を訴える患者の割合は、別の株よりも多いことが分かった。コロナは感染症法上の位置付けが5月8日に「5類」へ引き下げられるが、感染力が強く後遺症もあり厄介な存在であることに変わりはない。担当する大塚文夫副院長は「治療が遅れれば長期化する恐れもある。違和感があれば迷わず受診を」と呼びかけている。

 総合内科・総合診療科に「コロナ・アフターケア外来」が設置されたのは2021年2月15日。今年1月末までに受診した569人を分析した。内訳はオミクロン株の感染が319人、デルタ株135人、アルファ株など従来株115人。

 「睡眠障害」を訴えた患者の割合はオミクロン株が24・8%だった。デルタ株は13・3%、従来株は12・2%で「2倍近く増えており、統計的に明らかに差がある」と大塚副院長。オミクロン株の後遺症患者が感じている睡眠障害(複数回答)は寝付きが悪くなる入眠障害が63・3%で最多。熟睡できないが50・0%、眠りが浅く夜中に目が覚めてしまう中途覚醒が43・3%などと続く。

 「倦怠感」は、オミクロン株の後遺症患者の64・9%にみられた。別の株は50%程度で、こちらも大きく上回っている。「頭痛」はオミクロン株が26・7%。デルタ株より6・7ポイント、従来株より11・9ポイント多い。大塚副院長は「眠りの質が低下し、倦怠感や頭痛を悪化させてしまう患者も少なくない」とする。

 オミクロン株での嗅覚障害は10・7%、味覚障害は12・2%。いずれも別の株より大きく減っていた。

 後遺症が起こるメカニズムは不明だが、コロナ治癒後もウイルスが体内に残り、過剰な免疫反応が発生。炎症が継続して起こることなどが原因とみられる。

 1月末までの患者569人の治療期間も調査した。後遺症が治まった261人の治療日数は平均183日。通院中の272人の平均は357日で、1年近くも後遺症に苦しめられている。残りの36人はかかりつけ医に通っている。

 同外来は平日のみで予約制。コロナ感染から1カ月以上が経過した患者が対象で、かかりつけ医の紹介状が必要になる。血液検査や問診などで原因を探り、精神科神経科や耳鼻咽喉科などと連携。症状に合わせ、炎症を抑える薬や睡眠導入剤、漢方などを投与する治療を行う。

 大塚副院長は「コロナは『5類』になるが、ウイルスの恐ろしさは変わらない。個人個人がしっかりとした感染対策をしてほしい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年02月16日 更新)

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