岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授（予防歯科学）らのグループは、水素を豊富に含む「水素水」に歯周病の抑制効果があることを動物実験で確認した。新たな歯周病予防につながる成果という。

　これまでの研究で水素水は、動脈硬化などの病気や老化の原因になるといわれる活性酸素を減らすことが分かっている。グループは歯周病患者も血中の活性酸素濃度が高くなることから水素水の効用に注目した。

　実験では１リットル中に８００～千マイクログラムの水素を含む水素水を使用。ラット２８匹を（１）正常群（２）正常群で水素水を摂取（３）歯周病群（４）歯周病群で水素水を摂取―の四つに分類。１カ月後、歯や歯茎の状態がどう変わるか調べた。

　（１）と（２）では違いが見られなかったが、（４）は（３）に比べて炎症が起きた細胞や、歯を溶かす細胞の数が半分程度に減った。さらに血中の活性酸素濃度の上昇率も比較。（４）は（３）の約半分に抑えられており、水素水の摂取が歯周病の進行を抑制していると結論付けた。成果は、欧州の学会誌に掲載された。

　森田教授によると、軽度も含めると日本人の成人の８割が歯周病。水素水は市販されており、研究を中心的に進めた同研究科大学院生の粕山健太さん（２８）は「今回の研究は、水素水を飲むことが歯周病予防の治療法につながる可能性のあることを示している」と話していた。