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チーム医療で乳がんを早期発見 胸に変化を感じたら迷わず受診を

ブレストセンター長
吉川 和明
日本乳癌学会乳腺専門医、日本医学放射線学会画像診断専門医、日本超音波医学会超音波専門医、日本乳がん検診精度管理中央機構マンモグラフィ読影As判定、日本乳がん検診精度管理機構乳房超音波試験A判定。乳腺診断が専門。乳腺診断医。

ブレスト・アウェアネスをお風呂での習慣に

 女性がかかるがんの中でもっとも多いのが乳がんですが、早期発見・治療をすることで日常生活に早く戻れる予後の良いがんでもあります。乳がん治療にチームで取り組む「倉敷成人病センター・ブレストセンター」の吉川和明センター長に聞きました。(「さりお」2023年3月10日号から転載)

 ―女性の9人に1人が乳がんにかかると聞きました。どのような形で病気が見つかりますか。

 当院では検診と自覚症状では、同じぐらいの割合で乳がんが見つかっています。検診で見つかる方は乳がんのステージでは0期・Ⅰ期が多く、自覚症状ではⅠ期・Ⅱ期が多いです。自覚症状の中では「しこり」が9割以上です。やはり、普段から自分の胸を指で洗うなどして慣れていると、小さなしこりにも気付きやすくなります。また、乳頭からの出血やひきつれ、痛みのないただれ、もしくは痛みや違和感が発見のきっかけになることがあります。本来、痛みと乳がんは無関係なのですが、痛みと違う部位、例えば左が痛くて受診したら右にがんが見つかったということが時にあります。
 
 ―自分でしこりが分かるようになりますか。

 はい! ブレストセンターでは、まず自分の胸を指で洗うなどして、普段の状態に慣れることをおすすめしています。そうやって慣れた指は、小さいしこりのセンサーとしてとても役立つようになります。変化を感じたら迷わず受診を、変化が無ければ検診を。この一連の動作を「ブレスト・アウェアネス」といい、乳がんの早期発見だけでなく、正しい認識につながる大事な生活習慣として厚生労働省も推奨するようになりました。

乳がん0期・Ⅰ期とは

 乳がんは乳管にできますが、がん以外の良性の腫瘍も乳管にできます。乳がんの診断に使われるステージは、T・N・Mという3つの要素を組み合わせて決定されます()。早期乳がんとは、乳がんのステージ分類で、0期・Ⅰ期のことを指します。0期は非浸潤がんと呼ばれ、がんが乳管・小葉内に留まっている状態です。Ⅰ期は、しこりが2センチ以下で、リンパ節への転移はないが、がんが乳管・小葉を超えて広がっていることから浸潤がんと言われます。

 0期での5年生存率は100%、Ⅰ期では99・8%(グラフ)。0期・Ⅰ期の場合、手術後、退院をして日常生活に戻れるケースがほとんどで、早期発見ほど予後の良いがんということが分かります。

早期発見・治療のために

◆日々のブレスト・アウェアネスで自分の胸の状態を知ろう
◆年に1 度の乳がん検診でマンモグラフィ(必要に応じて乳房超音波)検査を
◆いつもと違う、痛みを感じる、不安がある場合は、検診を待たずに病院へ相談を
◆二次検診(精密検査)は、「乳がん精密検診機関」の病院で

乳がん精密検診機関(岡山県ホームページ)
https://www.pref.okayama.jp/page/detail-27768.html



 倉敷成人病センターは、乳がんの専門看護師による相談電話を開設している。乳房の痛みや張りがある▽しこりがあるが受診をためらっている▽検診結果の見方が分からない―といった悩みに対応する。月~金曜の午後2時~4時、専用電話(080-2895-2387)で受け付ける。祝日と年末年始は休み。問い合わせフォーム(https://www.fkmc.or.jp/form/iryousoudan/)でも、相談に応じている。



※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年03月15日 更新)

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