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水俣病 映画で関心持って 岡山大・頼藤教授ら 19日上映会

岡山では新型コロナウイルスへの対応や分析を担う頼藤教授(中央)。仕事の合間を縫い、胎児性患者の健康観察を毎月続ける=本人提供

 公害の原点といわれる水俣病の現状に迫った長編ドキュメンタリー映画「水俣曼荼羅(まんだら)」が19日、岡山市北区天神町の岡山県天神山文化プラザで初めて上映される。長年にわたり熊本県水俣市に赴き、患者の健康観察を続ける岡山大の頼藤貴志教授(46)=疫学・衛生学=らが中心となって企画。公式確認から65年以上が経過する中「映画が水俣への関心を高めるきっかけになれば」と願っている。

 映画は「ゆきゆきて、神軍」などで知られる原一男監督の最新作で、6時間を超える長編。約15年かけ患者や家族を撮影し「水俣を忘れてはいけない」というメッセージを伝える。

 上映会を企画した頼藤教授にとって、水俣の地には特別な思いがある。熊本県八代市で生まれ、医師を目指し熊本大医学部で学んだ。その時、出会ったのが水俣病研究の第一人者で、患者を支え続けた原田正純医師だった。2012年に原田医師が亡くなり、その遺志を継ぐ形で14年3月から毎月現地を訪ねる。診察したり困り事に耳を傾けたりしながら、必要に応じて専門医につないでいる。

 その活動も今月、10年目に入った。今、気がかりなのが映画でも描かれる患者の高齢化だという。母親のおなかの中でメチル水銀に暴露された胎児性患者の多くが60~70代に突入し、介護の必要性が浮上している。さらに患者認定されていない同世代の人の神経認知機能が低下していることが最近の調査で分かってきており、さらなる研究も痛感する。

 頼藤教授は「今を懸命に生きる患者の姿を捉えた映画は、水俣病が過去の問題ではなく、現在も続いていることを示している。私自身も研究を進め、水俣を世の中に発信し続けたい」と話している。

 上映会は19日午前10時半から。前売り3600円(当日3900円)。問い合わせは実行委(okayama.minamata@gmail.com)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年03月17日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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