文字 

救急車内でエコー検査へ実証実験 「特区」吉備中央町と岡山大病院

岡山大病院でモニターを見ながら救急救命士に指示を出す医師

 岡山県吉備中央町と岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は19日、救急車内で救急救命士が超音波(エコー)検査できるよう規制緩和を目指し、病院と車両を通信回線で結んでの実証実験を行った。同町が先端技術を活用して医療・健康分野の課題解決を図る政府の「デジタル田園健康特区」に指定されたことを受けて実施。病院到着後の迅速な治療に向け、内臓の出血状況などを搬送中に診断できるかどうか検証した。

 交通事故で負傷した患者を同町から岡山市内まで搬送するとの想定。ドクターカーに乗った救急救命士が患者役の男性の腹部にエコーを当て、エコー画像や車内の様子をインターネット回線を使って送信した。

 病院の大型モニターに映し出された画像を見ながら医師が「カメラで手元を見せて」「エコーを背側に当てて」などと細かく指示。山間部でエコー画像が途切れる場面もあったが、車内の他のカメラでエコー画像を写して送り対処した。

 吉備中央町内には総合病院がなく、岡山市までは救急車でも搬送に1時間以上かかるケースが多い。搬送中に検査画像を送ることで手術時間の前倒しなどで救命率向上につながるとし、現在は認められていない救急救命士によるエコー検査が特区内でできるようにし、将来は法改正も目指す。

 実証実験を担当した岡山大病院産科婦人科の牧尉太助教は「搬送中に画像を途切れさせない対策や検査が本来の救命活動の妨げとならないようにする体制といった課題もあるが、車内からの検査画像で患者の状況を把握できるのは分かった」と説明。大樫隆志同町企画課長は「住民の命を守るため、課題を検証し実験を続けていく」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年03月19日 更新)

タグ: 岡山大学病院

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ