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(2)画像検査~マンモグラフィー、エコー、無痛MRI~  岡山中央病院乳腺外科医師 今田孝子

今田孝子氏

 今回は乳がん検診の画像検査についてのお話です。

 市町村が行う対策型検診の画像検査はマンモグラフィー(MMG)のみです。人間ドックや企業検診といった任意型検診ではMMG以外にエコー(超音波)検査が選択できます。当院ではこの二つに加え、最新の画像検査として無痛MRI検診も行っています。

 ■MMG

 MMGは乳房を機械に挟んで圧迫してエックス線撮影します。乳腺や腫瘤(しゅりゅう)、石灰化といった硬いものは白く、脂肪など柔らかいものは黒く写ります。

 乳房は乳腺と脂肪で構成されていますが、その割合は人それぞれです。乳腺の割合が多いと全体的に白く、これを不均一高濃度、または高濃度乳房(両者あわせてデンスブレスト)といいます。脂肪の割合が多いと全体的に黒く、これを脂肪性、または乳腺散在の乳房と呼んでいます=図1

 がんの腫瘤や石灰化は硬いのでMMGでは白く写ります。脂肪性、乳腺散在の乳房は背景が黒いので、白く写る腫瘤は分かりやすいですが、デンスブレストは背景が全体的に白いので、白く写る腫瘤は乳腺と重なって見えなかったり、逆に乳腺の重なりが腫瘤のように見えることもあります=図2。ですからデンスブレストの方はMMGだけでなく、エコーを組み合わせた検診がお勧めです。石灰化はデンスブレストでも確認できます=図3

 また、MMGは同じ施設で撮る方が過去の画像と比較できますので、より診断が正しくなります。

 ■エコー検査

 エコーは、乳房の上をプローブを移動させながら検査します。MMGと同じく乳腺は白く、脂肪は黒く写ります。エコーでは腫瘤は黒くうつりますので、MMGとは反対に乳腺の割合が多い人の方が分かりやすく、脂肪性の乳房は分かりにくい傾向にあります=図4。MMGは乳房全体の写真があるので後日でも確認できます。エコーは1人の技師が検査するので、かなり小さい病変で、技師が気がつかなければ写真に残ることがなく、後から見返すこともできません。

 ■無痛MRI

 MMGは乳房を圧迫するため痛みを伴います。それが苦痛で検診から足が遠のく方がおられます。そういう方のために、当院では造影剤を使わない無痛MRI検診をしています。エックス線ではありませんので被ばくもありません。検査時間は15分程度で高濃度乳房でも分かります。また全体画像が残り、MRI専門の診断医が所見をつけます。

 MRI検診では異常部位がだいたい特定できます。例えば右乳房の外側上に異常ありとの所見があれば、精密検査でそこを重点的にエコー検査しますので、より小さい病変も見つけることが可能で、がんの発見率も高くなっています。

 ただし費用が2万円と高額ですので、みなさんにお勧めするわけではありません。MRI検診は乳房が大きくかつ高濃度乳房の方に一番メリットの多い検査だと思います。脂肪性や乳腺散在性の乳房であればMMGで十分です。

 自分の乳房の性状は、自治体や人間ドックでの検診は結果が届くのみですので知ることが難しいのですが、当院では外来受診での検診時に、脂肪性かデンスブレストかなどお伝えしております。

 ご自身にあった画像検査で乳がん検診ができればいいですね!

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 岡山中央病院(086―252―3221)

 いまだ・たかこ 香川県立高松高校、岡山大学医学部卒。同大学医学部第一外科学教室に入局後、岩国医療センター、三原赤十字病院を経て、2003年より岡山中央病院に勤務。乳腺外科専門医、癌治療認定医、医学博士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年03月20日 更新)

タグ: がん岡山中央病院

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