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入院患者の面会再開 対応分かれる 岡山県内 院内感染に根強い警戒感

病棟への無許可の立ち入りを禁じる岡山中央病院の張り紙。同病院は20日から3年ぶりに対面での面会を再開した

 新型コロナウイルス感染症の5類移行を控える中、入院患者の面会制限について岡山県内で医療機関の対応が分かれている。患者の心身に悪影響を与える懸念から一部の病院が緩和に踏み切る一方、院内感染を恐れて原則中止を続ける病院も少なくない。国は面会再開の検討を呼びかけるが、現場は悩ましい判断を迫られている。

 岡山中央病院(岡山市)は20日、対面での面会を3年ぶりに再開し、1組3人まで病棟に入ることを認めた。大田原隆博・地域連携企画室長は「面会制限は患者の病状を損なう心配がある。面会を希望する声も多く、感染対策の徹底で再開可能と判断した」と話す。

 岡山済生会総合病院(同市)は14日から、30分に限り予約なしの面会を認めた。倉敷スイートホスピタル(倉敷市)も14日から、面会が認められる人数を1人から2人に増やした。

 緩和を進める背景には、患者のQOL(生活の質)を保つ狙いがある。国は2021年秋、面会再開を検討するよう通達し、岡山県も今年2月、対面を含めた対応の検討を呼びかけた。

 ただ、この3年間に県内医療機関でのクラスター(感染者集団)は386例(15日時点)に達し、医療現場では院内感染への警戒感が根強い。

 津山中央病院(津山市)は感染力の強いオミクロン株が主流となった昨年1月以降、みとりなどを除き対面での面会を原則中止し、5類移行後も継続する方針だ。西川秀香統括看護部長は「マスク着用が自己判断となり、院内の感染対策がより難しくなる」と話す。

 しげい病院(倉敷市)では面会中止で孤立を深め、リハビリを拒否したり認知症が進んだりした患者もいるという。有元克彦院長は「歯がゆいが、命を守るためにやむを得ない」と話す。

 県病院協会の難波義夫会長は「第9波の懸念があり一定の制限は仕方ない」とした上で「3年でコロナの性質は分かってきた。今後は病院の環境に応じて少人数、短時間での見舞いを受け入れる方向になるのではないか」と指摘する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年03月21日 更新)

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