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(4)これからの季節(春)に流行しやすい子どもの病気 倉敷成人病センター小児科主任部長 赤池洋人

赤池洋人氏

 春のこの時期は、入園や入学、学年が上がり新しいクラスになるなど、子どもの生活環境が変わる時です。集団生活が始まった園児たちは、いろいろな風邪をもらい、数カ月間は保育園や幼稚園に登園するとすぐに熱を出し、お休みしなければいけなくなることが多くなります。特に季節の変わり目は、体調を崩しやすくなる子が多くいます。体温調節が難しい子どもの場合は、特に気をつけてあげたいものです。

 ■季節の変わり目の咳(せき)に注意!

 特に幼児に起こりやすい喘息(ぜんそく)は、春や梅雨時、秋など季節の変わり目に増える傾向があります。これはアレルギーの原因となるカビやダニなども影響しています。室内の湿度を50~60%に調節することで予防ができます。

 また、子どもには難しいかもしれませんが、人ごみなどに出るときは引き続きマスクをつけるのも効果的です。室内は、布団やカーテンなどをこまめに掃除するのも対策のひとつです。

 初めは、咳が夜に多く「ゼーゼーする」という症状だけであっても、少しずつ小さな発作が繰り返されるようになり、喘息性気管支炎から喘息という診断になっていきます。咳が続く場合には、早めに受診し診断をしてもらうことをお勧めします。

 春に流行する感染症では「ライノウイルス感染症」があります。風邪で一番多いウイルスといわれています。特効薬はなく対処療法をしていくことになります。

 その他、「溶連菌感染症」では“発熱・喉の痛み・吐き気”などの症状があります。体に赤い発疹が出ることもあり、治療しないとリウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症を起こすこともあり抗菌薬の服薬が必要です。

 また、両頬がリンゴのように赤く腫れることから呼ばれている「リンゴ病(伝染性紅斑)」では、“発熱・咳・鼻水”などの症状が出ることが多く、頬が赤く腫れが出る前にだるさや頭痛、筋肉痛が現れることもあります。飛沫(ひまつ)感染や接触感染でうつるので知らないうちにかかってしまうことがあります。妊婦さんがかかると胎児に問題が生じることがあるため注意が必要です。

 春は、子どもたちにとって新しい生活を始める大事な時期であると同時に、生活パターンが乱れてしまいがち。また、緊張や不安でストレスを感じることも多いでしょう。子どもたちは、自分では健康管理ができないため、親が子どもの様子をよく観察し、異変があれば早く気づくことが大切になります。

 倉敷成人病センター小児科では2023年2月より通常の診療時間に加えて、お子さまの体調不良があり、早めの診察が必要な場合に受診いただけるよう平日の午後6時~8時、時間外の小児科診察を行っています。

 また、安心して療養できるよう小児病棟も設けており、入院された子どもたちやご家族が少しでも快適に入院生活を送れるよう、保育士も常駐しています。

 乳児健診・予防接種、病気(体調不良など)のご相談などを一貫してサポートし、安心な子育てができるよう体制を整えていますので、お気軽に小児科外来までお問い合わせください。

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 倉敷成人病センター(086―422―2111)

 あかいけ・ひろと 川崎医科大学医学部卒業。同大学附属病院、国立精神・神経センター武蔵病院、富士宮市立病院を経て、2022年1月から倉敷成人病センターに勤務。日本小児科学会専門医・指導医、日本小児神経学会専門医、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医、日本小児科医会子どもの心相談医、日本小児科学会出生前コンサルト小児科医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年04月03日 更新)

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