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(4)骨粗しょう症を知って骨折予防! 笠岡第一病院整形外科医長 門田康孝

門田康孝氏

 ■骨粗しょう症とは

 骨粗しょう症は、簡単に言うと「骨が弱くなる」病気です。

 「骨が弱くなる」ことは加齢とともに生じる変化の一つであり、特に女性の場合、閉経後に女性ホルモンの分泌が減少することで骨量が大きく減少します。

 骨粗しょう症自体には何の症状もありません。何が困るかと言えば、それは骨折をしやすくなることです。骨折が生じると、日常生活動作が制限され、骨折が治癒した後でも筋力が低下したり、歩行する力が弱くなったり、さまざまな障害をきたします。骨折を起こさないために、骨を弱くしない、予防が必要となってきます。

 ■治療

 治療には運動療法、食事療法、薬物療法があります。

 運動療法ではウオーキング、筋力トレーニングなどさまざまな運動で骨密度の増強効果が認められています。簡単に家でも始められる代表的な運動にスクワットがあります。太ももの筋肉を鍛え、骨密度の増加とともに転倒を予防する効果も期待できます。また、骨に重力の刺激を与える運動として「かかと落とし運動」があります。これも簡単な運動なので、運動経験のない方でも始めやすい運動です。

 食事療法ではバランスのとれた食生活をすることが基本ですが、骨を強くするという点において、しっかりとってほしい栄養素があります。それはカルシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質です。それぞれを多く含む食品としては、カルシウムは乳製品、大豆製品、小魚などの魚介類▽ビタミンDはサケ、ブリなどの魚類、干しシイタケ、キクラゲなど▽ビタミンKはブロッコリーやホウレン草、小松菜などの葉物野菜、納豆など▽たんぱく質は肉類、魚類、大豆製品などが挙げられます。

 薬物療法は現在、さまざまな種類から選択できるようになりました。投与についても週1回のもの、月1回のもの、半年1回のものなど多くの選択肢があります。どのような薬を使うかは個々の骨粗しょう症の状況やライフスタイルに合わせて、主治医の先生と相談をする必要があります。

 ■当院では

 骨粗しょう症の治療の目的は骨折予防であり、一次予防(骨折を起こしていない方の予防)と二次予防(骨折を生じてしまった方が再び骨折を起こさないようにする予防)があります。

 当院では、一次予防の取り組みとして、骨粗しょう症の情報発信を広報紙や、動画配信を通じて行い、二次予防については、骨折を治療している患者さまに積極的に骨粗しょう症の治療介入を勧めております。

 骨の変化はゆっくりであるため、慌てる必要はありませんが、一度、自身の骨について考えてみて、骨を強くする生活習慣を一つでも取り入れてみてはいかがでしょうか。

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 笠岡第一病院(0865ー67-0211)

 かどた・やすたか 岡山大学医学部医学科卒業。岡山市立市民病院、津山中央病院などを経て2021年4月から現職。日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医。医学博士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2023年04月20日 更新)

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