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花粉症対策 内服や噴霧薬で治療 南岡山医療センター赤木博文・耳鼻咽喉科医長に聞く 

花粉症の発症メカニズムや治療法などを話す赤木医長

 国民の約3割が罹患(りかん)しているとされ、低年齢化も進んでいる花粉症。岡山県など中国地方は今春、スギやヒノキの花粉飛散量が昨年を上回ると予測される。スギ花粉が飛散する時期を迎え、国立病院機構南岡山医療センター(岡山県早島町早島)の赤木博文・耳鼻咽喉科医長に、花粉症の治療法や身近な対策を尋ねた。

 花粉症は、花粉によって引き起こされるアレルギー疾患の総称。「原因花粉には夏のカモガヤ、秋のブタクサ、ヨモギなどもあるが、春のスギ、ヒノキが代表的」と赤木医長は解説する。

 発症の仕組みはこうだ。花粉が体内に入ると、体が異物(抗原)と認識し「特異的IgE抗体」を作る。この抗体が、粘膜の中にあり体を外敵から守っている肥満細胞に結合。花粉が再び入ると、肥満細胞からヒスタミン、ロイコトリエンといった化学伝達物質が出て、鼻粘膜の神経や目の結膜を刺激し、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが生じる。

 原因としては、遺伝によるアレルギー体質、人工林からの花粉の大量飛散、大気汚染、ストレスなどが指摘されている。赤木医長は「生活環境が改善されて病原体に感染する機会が減り、かえってアレルギー疾患になりやすくなる『衛生仮説』も注目されている」と語る。

 治療は薬物療法が中心で、軽症の場合は第2世代抗ヒスタミン薬を内服する。以前の第1世代より、眠気などの副作用が少ない。症状が重くなれば、鼻の中に噴霧するステロイド薬を併用する。鼻づまりがひどい人は抗ロイコトリエン薬を服用し、目の症状に対しては点眼用抗ヒスタミン薬などを使う。

 ここで赤木医長が勧めるのが「L―55乳酸菌」入りヨーグルト。毎日200ミリリットル飲み、治療薬と併用すれば症状緩和に一層有効という。「健康食品なので副作用がなく、子どもや妊婦にもいい」と付言する。

 花粉飛散の2―4週間前から、予防的に薬を飲む初期療法も効果がある。さらに、飛散の2週間前までなら、鼻粘膜を焼くレーザー手術も選択肢に挙げられる。局所麻酔を行い治療は30分程度で済むが「粘膜は再生するため根治療法とはならず、毎年手術を受ける必要性が出てくる」と話す。

 岡山では2月中ごろからのスギ花粉に続き、ヒノキ花粉がゴールデンウイークごろまで飛散する。長丁場になる花粉症の苦痛を和らげるには、日常生活で花粉を避ける工夫が欠かせない。

 赤木医長は、外出時はマスクや眼鏡、帽子を着用する▽帰宅時は玄関外で衣服をよく払い、洗顔、手洗い、うがいをする▽家では窓や戸をできるだけ閉める―などをポイントに挙げる=表参照
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月18日 更新)

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