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岡山県内 観光回復、景況も改善 新型コロナ5類移行 8日で1年

大勢の人でにぎわう倉敷市の美観地区。新型コロナウイルスの5類移行を経て、県内でも観光需要が着実に回復している=2日

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられて8日で1年。行動制限が撤廃されて観光需要は着実に回復し、街中では「脱マスク」が目立つ。岡山県内の感染状況や経済活動、生活はどう変わったのか―。現状を探った。

■感染状況■

 県内84指定医療機関の定点把握(1週間ごと)で感染者数をみると、昨年9月上旬に1医療機関当たり17・45人、今年1月下旬~2月上旬に同13・45人と5類移行後も増減を繰り返している。クラスター(感染者集団)は3月末時点で高齢者施設を中心に635件発生、死者は昨年5~11月で209人に上る。

 コロナ禍で必須だったマスク着用は個人の判断に委ねられ、外す場面は増えた。それでも高齢者施設や病院は依然、感染対策を継続するところが多い。

 特別養護老人ホーム天神荘(笠岡市)では職員と利用者に1日2回の体温チェックなどを実施。岡山赤十字病院(岡山市)も入院患者への面会は時間や人数を制限している。両施設は「患者らは感染すれば重症化や命に関わる。まだ対策は欠かせない」とする。

■観  光■

 岡山城や後楽園(岡山市)、美観地区(倉敷市)といった名所は外国人ら大勢の観光客でにぎわう。県観光課によると、2023年に県内のホテルや旅館に宿泊した人は延べ約540万人と、コロナ禍前だった19年の95・4%に達し「観光客は5類移行を節目に回復している」と同課。

 ただ、地域差も出始めている。県旅館ホテル生活衛生同業組合は「県北部の温泉地など売り上げが戻らない施設も多い」と漏らす。温泉旅館「ゆのごう館 will be」(美作市)は客数がコロナ禍前の6~7割にとどまる。人件費や食材費を抑えるため、苦肉の策として素泊まり客の受け入れに力を注いでいるという。

■学校現場■

 コロナ禍で大きな影響を受けた学校現場。5類移行前から徐々に進められてきた制限緩和に伴い、従来の姿を取り戻している。

 マスク着用は23年度当初から校内で原則不要に。一時期は「前を向いて黙食」だった給食は、会話をしながら食べる風景が広がる。修学旅行や宿泊研修も復活している。

 運動会の競技数を減らしたり、卒業式や入学式で来賓を制限したりと、コロナ禍を経て行事の実施方法を変更した学校もある。県教委義務教育課は「これまでの慣例を見直す機会にもなった」とする。

■企  業■

 県内の景況は改善傾向が続く。日銀岡山支店の3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、地場企業の業況判断指数(DI)は14と前年同期と比べ9ポイント上昇した。

 新卒の採用活動を巡ってはオンライン形式を継続しつつ、対面をより重視する姿勢が目立つ。インターンシップ(就業体験)なども対面回帰が進み、「自社の魅力を学生に直接伝えることが改めて重要視されている」と県内の就職支援会社。

 一方、雇用情勢は持ち直しの動きが停滞。とりわけ宿泊・飲食サービス業は、国や自治体の支援事業もあり21年秋以降、新規求人数が高水準で推移してきたが、今年3月は前年同月より17・4%減少。岡山労働局は「人流回復を見据えた採用増の反動に加え、物価高が経営を圧迫しているため」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2024年05月07日 更新)

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