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機能性食品届け出、岡山でも準備 抗アレルギーや血糖値抑制

大森食品が機能性表示食品として届け出るチシャトウの関連商品

 食品に健康の維持・増進機能などを表記しやすくする「機能性表示食品」制度が今月スタートし、岡山県内のメーカーなどが届け出の準備を進めている。科学的根拠を国に届け出れば表記できるようになり、早ければ今夏にも「抗アレルギー」「血糖値の抑制」をうたった商品として登場する見込み。健康志向の高まりで成長が続く健康食品市場がさらに活気づきそうだ。

 業務用食品卸の大森食品(岡山市)は近く、全国の契約農家が栽培しているレタスの一種・チシャトウを届け出る。これを原料にした青汁やあめ、調味料など約10種類の自社商品に「抗アレルギー作用」と記したい考え。

 同社が扱うチシャトウは、岡山大との共同研究でケルセチンなどの含有成分がアレルギー症状を抑えることを確認済み。届け出には順天堂大(東京)での臨床試験データも加える予定という。

 健康への効果をうたうには1991年からの特定保健用食品(トクホ)制度もあるが、国の許可が必要で、より詳細な科学的データを準備するために多大な時間と費用が掛かる。このため同社は許可申請せず、商品には「機能性野菜」と記すにとどめてきた。岸野章丈会長は「科学的データの作成費はトクホより格段に少なくて済む。簡素な手続きで具体的効能を示せるメリットは大きい」と話す。

 バイオベンチャーのニューバイオエンタープライズ(岡山市)は、自社製の納豆菌「DC―15」で計画。広島大などでの臨床試験で食後の血糖値上昇を抑える効果があることを確認しており、同菌を使った調味料などに「血糖値上昇を抑えます」などと記す方向で検討している。「効能をストレートに表現でき、納豆菌を使った商品開発の道が広がる」と山本慎二社長。

 山田養蜂場(岡山県鏡野町)もローヤルゼリーやプロポリスといったミツバチ関連商品で年内の届け出を目指す。約20年続けてきた成分や効能の研究結果をもとに表示する方針で、橋本健・みつばち健康科学研究所長は「効能を分かりやすく消費者に伝えたい」と話す。

 一方、日本オリーブ(瀬戸内市)は、主力のオリーブオイルの届け出を当面見送る方針。成分のポリフェノールの抗酸化作用などが既に多くの書籍で紹介され、あらためて表示するメリットは少ないとの判断だが、「新たな健康増進機能が見つかれば検討する」(同社)としている。

 調査会社のシード・プランニング(東京)によると、2013年の国内健康食品の市場規模は1兆8400億円。機能性表示食品制度の創設もあり、17年には2兆1452億円に膨らむ見通しとなっている。


 機能性表示食品制度 食品が体にどのように良いかについて国の許可なしで表示できる。アルコール類を除く全ての生鮮食品や加工食品が対象。事業者は科学的根拠となる臨床研究データや論文を添えて消費者庁に届け出れば、60日後から容器・包装に記せる。ただし、病気の治療や予防への有効性を思わせる表現は使えない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年04月14日 更新)

タグ: アレルギー

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