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「サンマの薫製サラダ」と「車麩のカツ」 生活習慣病予防に効果

サンマの薫製サラダ(右)と車麩のカツ

小山津希枝さん

 10年以上ご愛読いただいたこのコーナーも最終回を迎えました。特別バージョンで2品を紹介します。

 一つ目は、サンマの薫製を使ったサラダです。家庭ではシンプルに塩焼きすることが多いけれど、一手間かけて薫製にすれば、身の水分が適度に抜けてうま味が凝縮され、違った味わいに。黄金の皮の色合いが美しく、いぶすことで付いた香りが食欲をそそります。

 紫タマネギのスライスと合わせましょう。サンマにはコレステロールを下げる作用、紫タマネギには血流を良くする効果があるため、生活習慣病の予防にもってこいです。

 もう一品は、車麩(ふ)を使ったカツ。植物性タンパク質が豊富で脂質は少ないため、肉よりもカロリーは低めながら、ボリューム感は負けません。車麩にはカリウムやリンなど体内で合成できないミネラルが含まれています。美肌効果もあるとされ、注目されている食材です。

 年末年始は大人数で集まる機会が多いと思います。これまで紹介してきた「重ね煮」などと組み合わせ、「体においし~い」料理で食卓を彩ってくださいね。

=サンマの薫製サラダ=

 ▼材料(5人分)

 サンマ5匹、サクラチップ一握り、砂糖ひとつまみ、紫タマネギ1個

 ▼作り方

 (1)サンマを三枚おろしにした後、中骨をそぎ取る

 (2)塩少々を振り、15~20分置く

 (3)中華鍋にサクラチップ、砂糖を入れ、金網を載せ、ふたをしてから点火

 (4)煙が鍋全体に回ったら火を止めてふたを取り、[2]を並べてふたをし、7分程度蒸らす

 (5)オニオンスライスを作る

 (6)器に[5]と食べやすい大きさに切ったサンマを盛りつける

=車麩のカツ=

 ▼材料(5人分)

 車麩5枚、下煮用調味液(水500ミリリットル、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1)、溶き小麦粉(小麦粉1カップ、水130~150ミリリットル)、パン粉適量、揚げ油

 ▼作り方

 (1)小鍋に下煮用調味液を入れ、車麩を浸してさっと煮る

 (2)あら熱の取れた車麩を4等分に切り、軽く絞る

 (3)車麩を溶き小麦粉にくぐらせ、パン粉を付けて180度の油でカリッと揚げる

小山さんからのメッセージ

 当初はここまで続くとは思ってもいませんでした。「今月のレシピは何にしようか…」と悩んだ時もあるので、安堵(あんど)感と寂しさの両方があります。

 支えになったのは、実際に作ってくれた人たちの声でした。「おいしかったよ」「うまく作れたわ」。この言葉にどれだけ励まされたことでしょう。逆に「レシピ通りに作れない」と電話をもらったこともあります。それも熱心に読んでくださっているからこそ。身の引き締まる思いでした。

 読者の皆さんには、感謝の思いしかありません。少しでも役に立ったことがあるなら、うれしい限りです。

 夫の大病をきっかけに料理に目覚めて35年。技術、知識は増えましたが、「料理の基本は、食べる人のことを思いやって作ること」という考えは変わりません。連載は終わりますが、店は若いスタッフとともに続けます。これからも、ぜひいらしてくださいね。



 こやま・つきえ 広島県豊浜町(現・呉市)生まれ。2000年5月に創作野菜料理店「野菜食堂こやま」(岡山市北区田町)を開店。各地で料理教室や講演会の講師も務める。著書は「野菜食堂こやま 幸せつなぐ毎日の食卓」(吉備人出版)。 野菜食堂こやまのHPはhttp://831580.com/
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月12日 更新)

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