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ルーティンのすすめ 岡山済生会総合病院院長 山本和秀

 2015年のラグビーワールドカップで日本代表が世界の強豪・南アフリカ代表に勝利したことで、それまでラグビーに興味のなかった人まで注目するようになりました。

 その中で、フルバックの五郎丸歩選手がプレースキックする時の独特のポーズが話題になり、日本国中で大流行しました。五郎丸選手はメンタルコーチとの話し合いの中から、「何となくやってきたルーティンを評価することによって自分のものにし、調子が落ちたときに自分を見つめ直すため」との理由から一連の動作、ルーティンを始めたそうです。

 五郎丸選手のルーティンほど目立ってはいませんが、私たちは知らず知らずのうちに自分なりのルーティンに従って行動しています。階段を上がるときの足の順番、電車に乗るときの座る位置、服を着るときの順番など、無意識のうちに一定のリズムで行動しています。年齢とともに物忘れが多くなりますが、ルーティンに行っていることは意外に忘れずにやっているものです。

 日々の生活のリズムや食事も大切なルーティンであると思います。毎朝一定の時間に起床し、朝食を取り、トイレで排せつし、仕事を行い、夕食後に就寝します。人間の体は体内時計を持っていて、サーカディアンリズムという一定のリズムで動いています。脳の働き、ホルモンの量と変動、自律神経の働きなど、このリズムに基づいて体をコントロールしています。朝起きて朝日を浴びることで体内時計はリセットされるとのことです。このように、一定のリズムを保つことは、すべての臓器の機能を効率的に動かすことにつながります。

 自分の行動や食生活にルーティンを取り入れ、無意識の中に一定のリズムで規則的な生活を送ることをお勧めします。



 やまもと・かずひで 岡山大大学院医学研究科卒。卒業後、カナダ・トロント大留学などを経て、2005年から岡山済生会総合病院副院長、07年から岡山大大学院教授。15年4月から現職。専門は消化器内科。岡山市出身。66歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年02月04日 更新)

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