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うつ病からの職場復帰へ新聞活用 玉野の支援施設「効果実感」

青井施設長(右から2人目)らスタッフに見守られながらリポート作成に取り組む研修生(手前の2人)

 うつ病からの職場復帰を支援する玉野市宇野の通所型施設「Little Plus」(リトルプラス)は、新聞記事に関するリポート作成を復帰訓練メニューに取り入れている。研修生(利用者)は「最新ニュースへの自分の考えをまとめることは社会性を取り戻す大きな手段」と確かな効果を感じている。

 同施設は昨年5月オープンし、現在の登録者は21人。再び働ける姿を思い描きながら、さまざまな復帰トレーニングを行っている。当初から新聞の多様な面を活用。山陽新聞玉野支社の記者を講師に、見出し付けに挑戦したり、気に入った記事を組み合わせて“マイ新聞”を作ったりした。カムバック後のコミュニケーションでは一つ一つの言葉が非常に大切になることから、短文芸の川柳や短歌にもチャレンジしてきた。

 リポートを作成しているのは2人。毎日のプログラムが終わってからの午後3時から2時間、個別作業としてパソコンに向かう。A4判に約1200字と体裁も設定。朝夕刊の中から興味を引いた記事を一つ選択し、概略をまとめ感想をつづる。

 テーマは甘利前経済再生担当相の金銭授受疑惑、中国による月面探査、玉野市の人口減少加速、ジビエ(狩猟肉)料理など多岐にわたる。市の人口減についてのリポートでは「頑張れ!玉野市 魅力発信!」と自らを元気づけるようなフレーズも。

 20代男性は「書き上げたときの満足感が心地よい。職場の上司との話題にもできる」、30代男性は「接客のときの話のきっかけに最適」と生き生きとした表情で話す。

 同施設の青井洸・施設長(31)は「毎日続けることで現実生活に必要な忍耐力もつく。常に社会と向き合う作業が訓練効果を上げている。今後、参加人数を増やしていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年02月20日 更新)

タグ: 精神疾患

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