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理研の高橋政代氏が再生医療語る 岡山大で講演「臨床重ね効果改善」

再生医療をテーマに講演する高橋プロジェクトリーダー

 世界初となる人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床応用を手掛けた理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーが20日、岡山大Jホール(岡山市北区鹿田町)で講演し、再生医療について「臨床を重ねることで治療効果の改善が見込まれる」と期待した。

 高橋氏のグループは一昨年秋、目の難病「滲出(しゅんしゅつ)型加齢黄斑変性」の患者にiPS細胞から作った網膜細胞を移植した。経過に関して「視力は回復していないが、視力の安定と安全性が確認された」と報告。一方で2例目はiPS細胞に遺伝子変異が見つかり、STAP細胞問題の影響もあって手術を見送ったとし、「臨床を重ねたいのに足止めされて悔しい」と打ち明けた。

 医療の基礎研究が臨床応用に結びつきにくい国内の現状にも言及。自身の眼科医としての経験から「企業や基礎研究者に丸投げにせず、臨床経験が豊富な医師が基礎研究を含めた全体を見渡すことが大切」と提言した。

 講演は2020年の岡山大医学部創立150周年に向けた記念事業の一環。学生や教職員ら約200人が聴講した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年02月20日 更新)

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