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(2)症状について 倉敷成人病センター産婦人科部長 西内敏文

西内敏文産婦人科部長

 今回は症状についてお話しします。先にご紹介した定義のなかで、多種多様と表現されているように、いろいろな症状があります=図1

 更年期症状の把握の大半は患者さんの訴えに依存し、また治療効果の判定も自覚症状の変化や消退によることが多く、重症度や治療効果を客観的に判断する目的で、『更年期指数』が重要な位置を占めます。古くは1953年にkuppermanが考案し報告した「クッパーマン指数」がありますが、日本人女性の症状にあまり適合しないなどの理由で、ほとんど利用されなくなりました。現在も複数の更年期指数が存在しますが、そのうちのひとつを紹介します=図2

 これは簡略更年期指数(SMI)です。この指数は日本人女性の訴えで多い症状を10項目に分け、それぞれ「強」「中」「弱」「無」のいずれかを選んでいただき、その合計をします。

 全ての項目が強ならば100点になり、50点以上で更年期障害を疑う目安としています。

 ただしスコアが高くても、のぼせ・発汗(血管運動神経症状という)などがほとんどない場合は、更年期障害の可能性は低いといわれています。

 ところで、とてもつらそうな更年期障害を経験する女性がいる一方で、ほとんど症状がなく過ごしている方もいらっしゃいます。この差はどこにあるのでしょうか。これには3つの要因が関係しているようです=図3

 1つ目は前述したように、【内分泌学要因】すなわち女性ホルモンの低下です。これは皆さん条件は同じです。2つ目が【社会的要因】です。これはその人を取り巻くさまざまな環境が負担となるのです。例えば介護、夫・子供・姑(しゅうと)との関係、仕事の影響などです。3つ目が【心理的要因】です。いわゆる真面目で几帳面(きちょうめん)で完璧主義者の人が、更年期障害になりやすいとされています。いい意味で何事も適当にする人は、なりづらいと言われています。

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 倉敷成人病センター(086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年08月01日 更新)

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