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「埋め込み型骨導補聴器」 臨床試験スタート 岡山大大学院教授ら 小型で負担かからず

聴力回復に有効とされる骨導補聴器

 岡山大大学院の西〓和則教授と福島邦博講師(耳鼻咽喉(いんこう)・頭頸(けい)部外科学)らのグループが同大病院で、難聴患者の聴力回復に有効とされる小型の「埋め込み型骨導補聴器」の臨床試験を始めた。中国地方の医療機関では唯一の実施施設で、来年3月までに6人に対して行い、安全性や効果を確認する。

 埋め込み型骨導補聴器は、一九七〇年代にスウェーデンで開発された。日本では医療器具として厚生労働省から承認されていないため、保険の適用がない。

 耳の後ろの骨に直径二―三ミリの穴を開けて埋め込んだチタン製の端子に、補聴器を接続。骨の振動により、音を感受する内耳に伝える仕組み。手術は切開部分が小さく患者の体に負担がかからない上、補聴器は長さ二・五センチ、厚さ一センチ程度と小さく、髪に隠れ目立たないのが利点という。

 先天性の疾患で、耳の穴がない外耳道閉鎖症や膿汁(のうじゅう)が出る慢性中耳炎など、補聴器を耳に入れられない患者が対象。通常は耳の穴を新たにつくったり、損傷した中耳の一部を修復する形成術などが行われているが、聴力の改善が困難なケースも多い。

 一例目は八月に実施。右耳が聞こえない二十代の女性=津山市=に、全身麻酔をかけて行い約一時間で終了。経過は順調で十月中に補聴器を装着する。女性は「補聴器をつけていても外見では分からないし、何より両耳で音を聞いてみたいと思い手術を受けた。友人とカラオケに行くのが楽しみ」と喜ぶ。

 西〓教授は「臨床試験の段階とはいえ、欧米で広く行われている治療法が日本でもようやく実施できるようになった。補聴器をつけられない難聴者にとって非常に有益」と話している。

 臨床試験は、岡山大のほかに北海道大や信州大、大阪大など十施設で計六十症例が行われる。

(注)〓は崎の旧字
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年10月08日 更新)

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