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玉野高で「がん教育」 体験者講演 支え合い生きる社会の大切さ訴え

山邊さんの、骨髄移植などの闘病経験についての話に聞き入る玉野高校1年生

 玉野高校(玉野市)は11月29日、がんやがん患者について理解を深める「がん教育」の授業を校内で行った。「岡山造血細胞移植患者会きぼう」の山邊裕子代表(66)=岡山市北区=が講演。骨髄や臍帯血(さいたいけつ)移植などの闘病経験を話し、支え合って生きる社会の大切さを1年生159人に訴えた。

 山邊さんは2002年5月、急性骨髄性白血病を発病し、余命8カ月と宣告された。3度の移植で奇跡的に回復したが、「治療過程で体重が29キロまで落ち、まともに呼吸できないこともあった。06年には夫を大腸がんで亡くし、本当につらかった」と振り返った。

 大量に輸血が必要だったことを明かし、「血液も骨髄も臍帯血も無償の愛で集められたもの。多大な治療費もほぼ税金。私は周囲の支えで生き延びている」。患者会代表としてドナー登録を増やす活動をしていることに触れ「私なりの恩返しの気持ち。社会は一人一人の優しさで成り立っていることを忘れないで」と呼び掛けた。

 講演後、「身近な人ががんになったら何ができるか」をテーマに各クラスでグループ討論。生徒らは「本人の前では笑顔でいる」「普段通りに接する」などと発表。山邊さんら、がん体験者4人が「哀れむのではなく、笑顔で寄り添ってあげて。言葉を掛けるのは難しい。行動で安心させてあげてほしい」などと助言した。

 女子(16)は「周囲の支えで立ち直れたという山邊さんの話はとても印象深かった。患者への接し方なども勉強になった」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年12月02日 更新)

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