文字 

岡山大病院 初ケースの肺移植成功 体格差ある脳死ドナー提供

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で27日、重い肺の病気を患う50代女性への脳死肺移植が行われ、無事終了した。同病院は28日、2014年3月に国が脳死移植患者の選択基準を緩和し、ドナー(臓器提供者)と体格が一致しなくても移植できるようになったことで実現した初のケースであることを明らかにした。

 移植患者を選ぶ基準の見直しは体格の小さな子どもや女性への移植機会を増やす狙い。同病院ではこれまでに、生体肺移植では体格差がある人の間での手術を手掛けている。

 今回の手術は、小柄な女性患者の左に男性ドナーの肺上部の「上葉」を、右に下部の「下葉」を移植。執刀した臓器移植医療センターの大藤剛宏教授は「下葉の状態はやや悪かったが、術後の治療で改善すると判断した」と説明。患者の容体は安定しており、約3カ月で退院できる見込み。

 手術は27日午前11時すぎに始まり、約7時間半で終わった。女性は手術前、「私にとっては提供いただいた大切な肺。早く元気になって旅行に行きたい。2人分の人生を歩んでいく」とコメントを寄せた。

 女性は膠原(こうげん)病の合併症で肺胞壁に炎症を起こし、ガス交換ができにくくなる間質性肺炎と診断され、3月5日に日本臓器移植ネットワークに登録していた。

 移植ネットによると、ドナーは30代で、九州地方の病院で法的脳死と判定された。

 岡山大病院での脳死肺移植は92例目。生体と合わせて179例目。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年04月28日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ