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歯周の炎症を画像で可視化 岡山大大学院・山城助教ら研究

分子イメージングで観察したマウスの奥歯。歯周病の箇所が発光している

山城圭介助教(左)と井手口英隆客員研究員

 岡山大大学院の山城圭介助教(歯周病態学)と米ペンシルベニア大の井手口英隆客員研究員(微生物学)らのグループは、生体内の分子の動きを画像で可視化する「分子イメージング」の技術を使って、歯周の炎症を確認する研究に取り組んでいる。新たな歯周病の検査方法になる可能性があるという。

 免疫細胞の一種「好中球」が歯周病菌と反応して活性化することに着目。特殊な薬を投与すれば、好中球の働きが高まる炎症箇所を発光現象によって検出し専用機器で撮影できることを、人為的に歯周病を発症させたマウスの実験で確かめた。

 放射能を含む薬剤を使って分子イメージングを可能にしているがんの画像診断装置「PET/CT」でも、歯周の炎症が見分けられることを確認した。

 被ばくや高コストの問題はあるが、PET/CTを使ったがん検査とセットでできれば、歯科医を受診して歯周ポケット(歯と歯肉の隙間)の深さを測ってもらう従来の方法より歯周病検査が簡便にできるとしている。将来は、分子イメージング技術を用いた専用の検査手法の開発にもつなげたい考え。

 山城助教は「一連の研究を通じて歯周病検査での分子イメージングの有効性が確認できた。今後、当面はPET/CTで歯周病の重症度を判定できるかどうか研究していきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年09月26日 更新)

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