文字 

人間ドック

主な検査項目

1.身体測定

<身長・体重・BMI値>
 身長に見合った体重かどうかを判定する数値です。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出します。 この値が高いほど、高血圧、脂質異常症、糖尿病や動脈硬化、脂肪肝などの生活習慣病に将来罹患(りかん)する可能性が高くなります。 値が低い場合、時に甲状腺機能亢進(こうしん)症、糖尿病、がんなどが原因のことがあります。
体格指数(BMI) 要注意 基準値 要注意
18.4以下(低体重) 18.5~24.9 25.0以上(肥満)
<腹囲>
 臍(へそ)の高さでの腹部の周囲径で、軽く息を吐いた状態で計測します。 生活習慣病のリスク因子である内臓脂肪量と関連が深く、メタボリックシンドロームの判定基準のひとつです。 BMI値と同様に、この値が高いほど将来生活習慣病に罹患する可能性が高くなります。
腹囲 基準値 要注意
男性 85未満 85以上
女性 90未満 90以上

2.血圧

 心臓が血液を送り出すときに血管に加わる圧力を測定しています。収縮期血圧、拡張期血圧のどちらか、または両方が基準値を超えている場合には、高血圧が疑われます。なお、血圧は測定するときの条件によって値が変化するため、何度か測定して確かめることが必要です。
血圧 基準値 要注意 異常
収縮期血圧 129以下 130~159 160以上
拡張期血圧 84以下 85~99 100以上

3.眼

<視力>
 視力が基準値を下回っている場合には、近視、乱視が疑われます。時に、白内障や視神経、眼底の異常などで視力が低下することがあります。
基準値 要注意 異常
1.0以上 0.7~0.9 0.6以下

4.聴力

 低音と高音の両方が聞こえるかどうかを調べます。1,000Hzの低音では、30db(音の大きさ)以下の音が聞こえれば正常。4,000Hzの高音では30db以下が正常。それ以上でないと聞こえない場合は、難聴や中耳炎などが疑われます。
基準値 要注意 異常
1,000Hz 30以下、所見なし 35 40以上、所見あり
4,000Hz 30以下、所見なし 35 40以上、所見あり

5.肺機能

<%肺活量>
 性別、年齢、身長から算出された予測肺活量に対して、実際の肺活量が何%であるかを調べます。79%以下では肺のふくらみが悪いことを意味し、間質性肺炎や肺線維症などが疑われます。
基準値 異常
80.0以上 79.9以下
<1秒率>
 最大に息を吸い込んでから一気に吐き出すとき、最初の1秒間に何%の息を吐きだせるかを調べます。69.9%以下では肺気腫や慢性気管支炎などが疑われます。
基準値 異常
70.0以上 69.9以下

6.胸部エックス線

 エックス線の単純撮影で、胸部の異常を調べます。肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫、胸水、気胸など呼吸器疾患の有無、程度が分かります。また、心臓肥大や大動脈硬化など循環器の異常が見い出されることもあります。

7.心電図

 心臓の筋肉に流れる電流を身体の表面から記録する検査です。不整脈や心臓肥大、狭心症、心筋梗塞などがわかります。ベッドに寝た状態で検査する安静時心電図が基本ですが、運動を負荷して心電図の波形の変化を見る運動負荷心電図検査もあります。

8.上部消化管検査エックス線

 バリウムを飲んでエックス線撮影を行い、食道、胃、十二指腸の異常を調べます。食道、胃、十二指腸の潰瘍やがん、ポリープなどがわかります。
 食道、胃、十二指腸の検査として、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が行われることもあります。

9.腹部超音波検査

 超音波を発信する装置を腹部にあてて、腹部の臓器を映像化し、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などの異常を調べます。
 肝臓では、肝のう胞、肝血管腫、脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなど、胆のうでは胆のうポリープ、胆石、胆のうがん、膵臓(すいぞう)では膵炎、膵臓がんなど、腎臓では腎のう胞、腎結石、水腎症、腎臓がんなどがわかります。

10.血液生化学検査

 血液の検査で、肝臓、腎臓、尿酸、脂質、糖代謝などについて調べます。
 肝臓系の検査としては総たんぱく、アルブミン、AST、ALT、γ-GTPなどがあります。血液中の総たんぱくの量が少ない場合は、栄養障害、ネフローゼ症候群などが、多い場合は多発性骨髄腫、脱水などが疑われます。また、血液中のたんぱくのうち最も多く含まれるのがアルブミンで、肝臓で合成されます。肝臓障害、栄養障害、ネフローゼ症候群などでアルブミンが減少することがあります。
 AST、ALTは肝臓の働きを見る検査で、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝障害などで上昇します。また、心筋梗塞のために高値を示すこともあります。γ-GTPも肝臓の異常で高値を示し、特にアルコール性肝障害での異常高値がよく見られます。
 腎臓系の検査としてはクレアチニンなどがあります。クレアチニンは腎臓でろ過されて尿中に排せつされますが、腎炎や腎機能障害などで腎臓の機能が低下して排せつが滞ると、この値が高くなります。
 尿酸はプリン体が代謝されたもので、腎臓でろ過されて尿中に排せつされます。痛風や高尿酸結晶、腎機能障害などで高値を示します。
 脂質系の検査ではHDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪などがあります。HDLコレステロールは善玉コレステロール、LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、中性脂肪は糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。HDLコレステロールの値が低かったりLDLコレステロールや中性脂肪の値が高かったりすると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性が高まります。
 糖代謝系検査には血糖値とHgbA1cがあり、数値が高い場合には糖尿病が疑われます。
血液生化学検査
肝臓系検査 基準値 要注意 異常
総タンパク 6.5~8.0 6.0~6.4
8.1~9.0
5.9以下
9.1以上
アルブミン 4.0以上 3.6~3.9 3.5以下
AST 30以下 31~50 51以上
ALT 30以下 31~50 51以上
γ-GTP 50以下 51~100 101以上
腎臓系検査 基準値 要注意 異常
クレアチニン 男性 1.00以下 1.01~1.29 1.30以上
女性 0.70以下 0.71~0.99 1.00以上
尿酸 基準値 要注意 異常
尿酸 2.1~7.0以下 2.0以下
7.1~8.9
9.0以上
脂質系検査 基準値 要注意 異常
HDLコレステロール 40~119 30~39 29以下
120以上
LDLコレステロール 60~119 59以下
120~179
180以上
中性脂肪 30~149 29以下
150~399
400以上
糖代謝系検査 基準値 要注意 異常
空腹時血糖値 99以下 100~125 126以上
HbA1c(ヘモグロビンA1c) 5.5以下 5.6~6.4 6.5以上

11.血液検査

 貧血などの血液の異常についての検査です。
 貧血の検査としては、血色素量(ヘモグロビン)、ヘマトクリット、赤血球数などがあり、数値が低ければ鉄欠乏性貧血などが疑われます。
 また、白血球数が多い場合は炎症や腫瘍が、少ない場合はウイルス感染症や再生不良性貧血などが、血小板数が少ない場合は再生不良性貧血や特発性血小板減少性紫斑病、肝硬変などが疑われます。
血液検査
貧血検査 異常 要注意 基準値 要注意 異常
血色素量
(ヘモグロビン)
男性 11.9
以下
12.0~13.0 13.1~16.6 16.7~17.9 18.0
以上
女性 10.9
以下
11.0~12.0 12.1~14.6 14.7~15.9 16.0
以上
ヘマトクリット 男性 35.3
以下
35.4~38.4 38.5~48.9 49.0~50.9 51.0
以上
女性 32.3
以下
32.4~35.4 35.5~43.9 44.0~47.9 48.0
以上
赤血球数 男性 359
以下
360~399 400~539 540~599 600
以上
女性 329
以下
330~359 360~489 490~549 550
以上
白血球数 異常 要注意 基準値 要注意 異常
2500
以下
2600~3100 3200~8500 8600~8900 9000
以上
血小板数 異常 要注意 基準値 要注意 異常
9.9万
以下
10.0~12.9万 13.0~34.9万 35.0~39.9万 40.0万
以上

12.尿検査

 尿タンパク、尿潜血、尿糖などを調べます。尿タンパクや尿潜血が陽性の場合、腎炎や腎結石、膀胱(ぼうこう)や尿道の炎症、結石、あるいは腫瘍などが疑われます。尿糖が陽性の場合、糖尿病が疑われますが、血液生化学検査の結果とあわせてみることが必要となります。
尿検査 基準値 要注意 異常
尿タンパク (-) (±)(+) (++)以上
尿潜血 (-) (±)(+) (++)以上
尿糖 (-) (±) (+)以上

13.便検査

便中の潜血を見る検査です。陽性の場合、痔(じ)、大腸ポリープ、大腸がんなどが疑われます。
異常なし 異常
2回とも(-) 1回でも(+)

(基準値は、日本人間ドック学会「検査表の見かた」http://www.ningen-dock.jp/public/methodを参考にしています)
(監修:川崎医科大学附属病院 健康診断センター 高尾俊弘 部長)

他のドックを調べる

ページトップへ

ページトップへ