受動喫煙防止条例を 23日に県医師会が県民大会

外科医としての経験から、受動喫煙防止条例の制定を呼び掛ける清水信義・岡山県医師会副会長

受動喫煙防止の運動を盛り上げるために岡山県医師会などが作製したシールやリストバンド

 望まない受動喫煙を防止し、きれいな空気を胸いっぱい吸える岡山へ―。岡山県医師会(松山正春会長)が旗を振る受動喫煙防止条例の制定を求める推進協議会は23日、岡山市で県民大会を開く。外科医として多くの肺がん手術を手掛け、運動の先頭に立つ清水信義副会長に、受動喫煙の危険性や、今、県独自の条例を設ける意義などを尋ねた。

 ―先生は岡山大学医学部教授・病院長、岡山ろうさい病院長を歴任され、約2千人の肺がん患者を診てこられました。受動喫煙防止を訴えるのは、その経験からでしょうか。

 喫煙者の肺がん患者から取り出した肺を見ると真っ黒。タールなどが詰まってぼろぼろになっている。かわいそうなのは、喫煙者の配偶者や家族も肺がんになる。喫煙者本人も、自分が吸わなかったら家族ががんになることはなかったと後悔する。紙巻きたばこにはたいていフィルターがついているが、周りにいる人はフィルターを通っていない有害物質の濃度が濃い煙を吸ってしまう。

 肺気腫など慢性閉塞性肺疾患(COPD)もたばこが原因になる。重症になると酸素吸入や車椅子が必要になり、つらい生活を送らなければならない。

 ―昨年7月、改正健康増進法が成立し、受動喫煙の防止対策も強化されましたが、まだ不十分なのでしょうか。

 例えば、学校は改正法によって敷地内禁煙になったが、校庭などに専用の建物を設ければ喫煙できる。子どもたちが見ている一角に、先生や大人たちが集まって喫煙する場所をつくってもよいのか。

 客席が100平方メートル以下の中小規模の飲食店も、店内での喫煙が認められている。このままでは半分以上の飲食店が「喫煙可」の掲示を選択することができる。食事をしている時に吸われると、受動喫煙は避けられない。そういう場所での喫煙をやめてもらうため、県条例が必要だ。

 ―東京都を皮切りに、静岡、山形、秋田、兵庫県、大阪府が既に条例を策定しました。規制内容はそれぞれ若干の違いがありますが、岡山はどのような条例を目指すべきでしょうか。

 東京の条例では、家族経営など雇用する従業員がいない場合を除き屋内禁煙にしなければならない。大阪も30平方メートル超の飲食店は禁煙としており、大半の店が該当する。岡山も東京、大阪と同等以上の厳しいレベルで規制し、最終的にすべての飲食店が禁煙になるよう取り組んでほしい。

 ―県民大会ではどのような訴えを発信されますか。

 多くの参加者が集まることで、県議会にも私たちの運動を知ってもらうことができる。署名活動も展開しており、2万人を目標に協力をお願いしている。受動喫煙を防止して肺がんになる人が減れば、医療費も大幅に削減できる。県民の健康を守る運動に、ぜひ一緒に参加していただきたい。

たばこの害アピール 23日、岡山市民会館で県民大会

 県民大会「受動喫煙防止大会 in OKAYAMA」は23日午後6時~7時半、岡山市北区丸の内の岡山市民会館で開かれる。

 県健康づくり財団付属病院の西井研治院長ら禁煙活動に取り組む専門医がたばこの害をアピール。肺がん患者会「ライオンハート岡山」の代表らは患者の立場から受動喫煙防止を呼び掛ける。県内の中学生や高校生から寄せられた啓発作文も掲示する。県条例制定を求める決議の採択を予定している。

 誰でも自由に参加できる。問い合わせは県医師会地域医療課(086―250―5111)。

(2019年05月20日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

PAGE TOP