岡山市が「医療的ケア児」を支援 関係機関連携、20年度本格運用

 病気や障害のため人工呼吸器を着け、たんを吸い取るといった医療的ケアを日常的に受けて暮らす子ども「医療的ケア児」を支援しようと、岡山市は、退院後の医療を円滑に受けられる体制づくりを進めている。入院していた病院や自宅に近い診療所、訪問看護ステーションなどが連携。情報を共有し、個々のケースに対応する。2020年度の本格運用を目指す。

 市によると、まず医療的ケア児の病気や家庭の状況などを記すチェックシートを作る。退院前後に地元の診療所の医師、訪問看護ステーションのスタッフ、保健師らが集まってシートを基に情報を共有。役割分担を明確にして支援の方針を決める。市はコーディネーターの役割を担う。

 退院後の医療的ケアは本人や家族に任されるケースが多い。支援体制を整えることで負担を軽減する。これとは別に、風邪の治療、予防接種などの在宅治療が必要になった際は医師、看護師らが自宅を訪れて対応することにする。

 0~19歳の医療的ケア児は医療技術の進歩で全国的に増えており、県の推計(昨年10月時点)によると、県内に336人、市内には111人いる。

 市は、昨年末から体制づくりを話し合うワーキンググループ(WG)の会合を随時開き、具体的な内容を詰めている。自治体が主導して関係機関をつなぐ支援体制は全国的に珍しいという。

 WG座長の岡山大大学院・塚原宏一教授は「岡山市が確立を目指す事例は全国のモデルケースになり得る。関係機関の連携に向けて尽力したい」と話している。

(2019年05月24日 更新)

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