「たばこ病」早期発見・治療を 川崎医大総合センターの友田医師

COPDの症状や治療法などについて話す友田医師

 31日は世界保健機関(WHO)が提唱する「世界禁煙デー」。全国で500万人以上の患者がいるとされ、「たばこ病」とも呼ばれる慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)は、昨年7月に亡くなった落語家桂歌丸さんが患い、啓発活動に協力していたが、国内での認知度は低い。川崎医科大総合医療センター(岡山市北区中山下)内科部長の友田恒一医師(呼吸器疾患)は「早期発見・治療が大切。まずは病気について知ってほしい」と呼び掛けている。

 ―COPDとはどんな病気か。

 慢性気管支炎と肺気腫を合わせた総称で、主にたばこの煙に含まれる有害物質によって起きる慢性の呼吸器疾患。喫煙者の約2割が発症するとされる。他人のたばこの煙を吸い込む「受動喫煙」で発症するケースもある。最初の症状はせき、たん、息切れ。全く症状がない人もいる。進行すると息切れが強くなり、酸素吸入が欠かせなくなったり、呼吸不全で死亡したりすることがある。

 ―全国で約530万人が罹患(りかん)しているとの推計調査もある。

 2017年の厚生労働省の調査によると、病院でCOPDと診断を受けた患者数は約22万人。うち男性は約15万4千人と女性(約6万6千人)を大きく上回る。死亡者数は約1万8千人と過去20年間で最も多かった。65歳以上の発症が多く、歩行や階段の昇降時に息切れするなどしても「年のせい」と思い込み、受診しない場合がほとんど。体質や環境によっては、若者でも発症することがある。

 ―COPDは一度発症したら治らないのか。

 完全に治すことはできないが、近年は吸入薬を使って進行を抑えたり、呼吸機能を改善したりできるようになった。早い段階で治療を始めた方が効果を実感しやすい。

 ―受診の目安は。

 風邪をひいていないのにせき、たん、息切れが続く場合は、呼吸器内科などを受診し、コンピューター断層撮影装置(CT)や呼吸機能検査をしてもらった方がいい。その際、「COPDかもしれないので検査してほしい」などと言ってもらえれば、より確実に診断できる。

 ―予防には禁煙が重要だ。

 喫煙はニコチン依存症という病気。決して本人の気持ちが弱いからやめられないわけではないので、周りの人は温かく応援してほしい。禁煙を手助けする薬もあるので、医療機関の禁煙外来を受診するのも一つの手。禁煙週間(6日まで)に合わせて、ぜひチャレンジしてほしい。

(2019年06月01日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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