玉野市民病院のリハビリ病棟実績 在院日数、5年で3.9日短縮

早期在宅復帰に向け、衣服を折りたたむ日常生活動作の訓練に取り組む患者

 玉野市立市民病院(同市宇野)は、脳血管疾患や大腿骨(だいたいこつ)骨折により障害を生じた患者の早期在宅復帰を目指す「回復期リハビリ病棟」の治療実績をまとめた。2014年から5年間で、入院患者の平均在院日数は53・9日から50・0日に短縮。食事や排せつ、歩行など、日常生活動作がどのくらい自分でできるか評価する指標を使った調査でも数値は向上している。

 市民病院によると、高齢の患者は入院が長引くほど社会復帰が難しくなるという。「住み慣れた地域から離れ、非日常的な環境の病院に長く滞在する間に、それまでの人間関係は疎遠になり、釣りや囲碁を楽しむといった生活スタイルも崩れてしまう」。同病院の伊瀬恭子・医療ソーシャルワーカーは早期退院に力を入れる意義を訴える。

 平均在院日数の短縮は、2016年から始まった医療法人・平成博愛会(徳島市)による市民病院への経営指導が大きい。理学療法士らの採用を増やし、リハビリ科の18年度のスタッフ数は30人。経営指導前に比べて3倍になった。マンパワーの強化によるリハビリの充実が短縮につながった。

 医療ソーシャルワーカーの取り組みも奏功している。

 患者や家族は在宅復帰後の生活に不安を抱えがちだが、ソーシャルワーカーは入院の決まった時点から支援を開始する。自宅をバリアフリーにする場合は、改修業者やリハビリスタッフと家を訪れて調整に努め、訪問看護、訪問リハビリが必要な人には受けられるよう手配するなど、きめ細かくサポートする。

 患者の日常生活の自立度、介助の必要度は、FIM(機能的自立度評価法)と呼ばれる指標で評価した。食べ物を口に運んで咀嚼(そしゃく)し、のみ込む▽体を洗う、拭く▽服を着る、脱ぐ―など18項目をそれぞれ7段階で細かく点数化し、満点は126点。

 退院時のFIMの平均点は2018年が82・4点で14年の82・3点とほぼ変わらないが、入院時は18年が58・6点と14年の69・6点より11点低下した。入退院時の点差が開くほど、回復の度合いが大きく、点差は14年の12・6点から18年は23・9点に拡大。より重症の患者を回復させていることを示す。

 田中一樹リハビリテーション士長は「退院後の生活で料理に不安がある患者なら一緒にみそ汁やカレーをつくる練習をするなど、患者一人一人に合ったリハビリを心掛けている」と話している。

(2019年07月26日 更新)

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