がん医療ロボットの臨床試験終了 岡山大開発、遠隔操作の検査正確

平木隆夫准教授

 岡山大が開発したがんの検査や治療を行う医療ロボットについて、同大大学院の平木隆夫准教授(放射線科)らの研究グループは27日、患者10人に臨床試験を行った結果、安全に終了したと発表した。遠隔操作で針を正確に患部に刺して病理検査ができたほか、コンピューター断層撮影装置(CT)による医師の被ばくもなかった。2020年度から実用化に向けて治験を始める予定だ。

 ロボットは昨年3月、岡山大が開発に成功したと発表した。医師がCT画像を見ながらアームを動かし、先端部の針を患部に刺してがんを焼き切ったり凍結させたりできる。医師はCTから離れた場所で施術するため、被ばくを避けられる利点があるという。

 研究グループによると、臨床試験は昨年6~10月、腎臓や肺などに腫瘍がある男女10人の同意を得て岡山大病院で実施。悪性か良性かを調べるため、針で患部の組織を採取する「生検」を行ったところ、いずれも正確に患部を捉え、深刻な合併症なども起きなかった。

 医療現場では、CTなどの画像診断装置と針を使って検査や治療を行っており、医療被ばくが課題となっている。今回の臨床試験で、医師への被ばく線量は検出されなかった。

 岡山大は医療と工学の分野が連携する取り組みの一環でロボットを開発。高精度な手技や遠隔医療に向けて現在も改良を重ねている。平木准教授は「日本発、世界初の技術として5年以内の製品化を目指したい」と話している。

(2019年08月28日 更新)

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