肥満でも糖尿病にならない遺伝子 吉備国大グループ、マウスで発見

成果を発表する加納教授(左)ら

 吉備国際大(高梁市伊賀町)の加納良男教授(細胞生物学)らの研究グループは12日、マウスの実験で、肥満になっても糖尿病にならず、長生きできる突然変異遺伝子があることを突き止めたと発表した。

 加納教授は約15年前、ラットの培養細胞の中に熱に強い細胞があることを確認。その細胞を調べると、インスリンの分泌に関与するタンパク質の一つに遺伝子の突然変異があることが分かった。

 約40匹のマウスを使った実験では、突然変異遺伝子を組み込んだマウスは食欲旺盛で肥満になったが、血糖値は正常値のままで平均で約2年6カ月生きた。一方、突然変異遺伝子のないマウスの平均寿命は約2年2カ月だった。

 突然変異遺伝子がどのような役割をしているかラットの細胞を使って調べたところ、細胞の老化の原因とされる活性酸素の働きを抑えたり、インスリンの分泌を増やすことで糖尿病の発症を予防したりしていた。がん細胞の増殖を抑制していることを示すデータも得られたという。

 加納教授によると、ヒトに同様の突然変異遺伝子があるかどうかは分かっておらず、「長寿の人がこの“健康長寿遺伝子”を持っているか研究し、糖尿病やがんの治療薬開発につながる成果が得られれば」としている。

 論文は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに3日掲載した。

(2019年09月12日 更新)

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