快適な朝の目覚めを得るために こころの市民講座

 慈圭病院(岡山市南区浦安本町)が開いたこころの市民講座の講演要旨を届ける。武田俊彦院長が「快適な朝の目覚めを得るために」と題して話した。



 朝の目覚めは快適ですか。気持ちよく目覚めるためには、質の良い睡眠をとることが重要ですが、睡眠に関しては意外に誤解や情報不足が多いように思われます。

よく眠りたいときに早く寝床に入っていませんか

 翌日に大切な行事を控えているとき、「布団に早く入って十分寝よう」と勢いこんだ経験は皆さんあると思います。しかし、これはなかなか成功しません。睡眠は、脳の覚醒系の神経回路と睡眠系の回路が、周期的にその支配を入れ替えることによって、リズムが作られています。そして、普段の入眠時刻の前約2時間は、それら神経回路の関係で最も覚醒度が高い“睡眠禁止帯”であることが分かっています。そこでの入眠は至難です。翌日に行事を控えているときにも、日常の睡眠リズムを崩さずに床に就くのが正解です。

なかなか寝付けないときにどうしていますか

 では、翌日のことを考えて興奮して寝付けないときにはどうするか。15分から20分寝床で頑張って寝付けない時は、寝床から出て何かリラックスすることをして眠気を覚えたら寝床に入りましょう。ただし、タバコやコーヒーは逆に目がさえます。私は、出張先ではいつも録音した落語を聴きながら寝入ります。そして、翌朝は、睡眠時間が短くても定時に起きましょう。定時に起きることによって、定時に眠くなるのです。安定した睡眠に重要なことは、定時の就床よりも定時の起床です。睡眠指導では、何回も目が覚めて困る、眠りが浅くて寝た感じがしないとの訴えに対して、積極的な遅寝+早起きを推奨します。

朝の過ごし方や昼寝のとり方も大切です

 朝起きた時の注意点もあります。光を浴び、適度に動き、ちゃんと朝食をとることです。そうすることで体内時計がリセットされて夜定時に眠気が訪れます。ですから、定時に起きることを含めて、朝の過ごし方は夜の睡眠にとってとても重要です。

 昼寝はとっていいのでしょうか。構いません。むしろ適度の昼寝は作業能率の向上に役立ちます。15:00までに15分から20分程度の昼寝が適切です。昼休みのうたた寝がお勧めです。遅い時刻や長時間の昼寝をとると、昼寝からすっきり起きられなかったり、夜間の入眠に影響します。

 さて、ここまでは日常よくある睡眠に関する誤解や情報不足についてお話ししてきました。このような情報は、慢性的な不眠症にも有効です。精神科では、薬物療法以外にこのような情報提供や睡眠指導も行っていますのでご活用ください。
(慈圭病院「きょうちくとう」はる2020から転載)

(2020年04月14日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

医療人情報

  • 院長  武田 俊彦

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