「小児救急電話」利用 岡山県内7000件突破 09年度 発熱相談40%、新型インフル影響

 準夜間に子どものけがや病気の相談に応じる「小児救急医療電話相談事業」(#8000)の岡山県内の利用が2009年度、過去最多の7千件を突破した。発熱に関する相談が多く、「新型インフルエンザの影響が大きい」と県医師会。子育て世代の周りに気軽に相談できる人が少ないことも背景にあるようだ。

 県の委託を受け、事業を運営する県医師会がまとめた。08年度は前年度の2倍以上の4482件の利用があったが、新型インフルエンザが猛威を振るった09年度はさらに1・5倍を超す7432件。症状別では、「新型インフルエンザが心配」などの発熱が40・7%で最も多かった。嘔(おう)吐(と)、けが、咳(せき)、下痢、誤飲が続いた。

 ただし、相談は8〜9割は軽症という。09年度は、医師らが「助言で解決した」「昼間に受診するよう勧めた」など、すぐに病院に行かなくても良い事案が8割近くに及んだ。「119番を勧めた」のは0・1%だった。ここ数年は「赤ちゃんが泣きやまない」などの不安や悩みを訴える人もいるという。

 利用者が、小児科医が少ない県北よりも県南都市部に多いことも電話相談の特徴。

 県によると、県内の小児科医は265人(08年調査)。岡山市を含む県南東部が154人なのに対し、高梁・新見6人、真庭1人と南北格差がある。だが、09年度の電話相談は県南東部が56・1%を占めた。倉敷市などの県南西部が12%。高梁・新見は1・5%、真庭も0・7%にとどまった。

 「都市部は核家族、共働きが増え、身近に子育ての経験者が少ないことも原因の一つでは」と県医師会。

 「新型インフルエンザが多かった秋ごろは、1日の相談が40件を超える日もあった」と当直を担当した県医師会の梶谷喬前理事。「全体的に若いお母さんからの電話が多い。一晩様子を見るか迷っていたり、相談できる人がいない場合は遠慮なく活用してほしい」と話している。

ズーム

 小児救急医療電話相談 電話番号は一般ダイヤル(086―272―9939)か、短縮ダイヤル(#8000)。受け付けは平日の午後7時〜11時、土日祝日の午後6時〜11時。

(2010年05月25日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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