岡山大病院がエクモカー導入へ コロナ重症者を治療しながら搬送

ダミー人形に人工心肺装置を装着したエクモカーの車内(横浜市立大附属市民総合医療センター提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は、新型コロナウイルスの重症患者などに使う人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を搭載できる救急搬送車「エクモカー」を来年度にも導入する。他病院などで重症化した患者を治療しながら転院させることができ、救命率の向上が期待される。

 日本呼吸療法医学会によると、エクモカーは東京都、神奈川、群馬、栃木県、大阪府の医療機関に1台ずつあるのみで、中国四国地方の病院にはまだないという。

 エクモカーは、大容量のバッテリーを備え、治療に当たる医師やエクモを操作する臨床工学技士ら3、4人が同乗して作業するスペースを確保する必要がある。通常の救急車よりも車内を広くするため、マイクロバスや小型トラックの車体をベースに製造される。同病院では日本財団からの助成金(約4300万円)を購入費用に充てる。

 導入後は、症状が悪化した患者を岡山大病院に転院させる際、人工呼吸器を使っても呼吸の確保が難しいと判断した場合の搬送などに使う。

 同病院高度救命救急センターによると、これまで新型コロナでエクモが必要となる患者を同病院に搬送した例はないが、今後、感染拡大で重症患者を運ぶケースが生じる場合に備えて導入する。青景聡之助教(集中治療専門医)は「救急車での搬送は電源やスペースの問題から治療にも制限があった。エクモカーがあれば車内でも集中治療を続けられる。新型コロナに限らず、災害や交通事故の現場でも活用できる」と話している。

(2020年10月03日 更新)

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