冬場は感染拡大の条件そろう 倉敷中央病院・上山医師に聞く

冬場は感染リスクが高まるとして対策の徹底を呼び掛ける上山医師

 新型コロナウイルスの累計感染者数が500人を超えた岡山県。倉敷中央病院(倉敷市)感染症科の上山伸也医師は、冬場はウイルスを含む飛沫(ひまつ)が飛散しやすく、部屋の換気も不十分になりがちなことから、「感染拡大の条件がそろっている」と指摘。改めて一人一人が感染防止策を徹底することの大切さを訴える。

 ―県内での感染確認が加速度的に増えている。

 東京、大阪といった大都市に比べ、岡山などの地方は行動範囲が広い20~50代の動きが少なく、個々の感染対策の努力もあって何とか抑えてくることができた。しかし、ここ1、2カ月で人の動きが予想以上に大きくなり、感染拡大につながったとみられる。

 ―観光、飲食業に対する国の支援事業の影響をどう見るか。

 人の流れをつくったという意味では感染拡大の一因となっていると思う。経済を回復させるための対策は必要だが、全国的に感染が拡大している現状に照らせば積極的な動きを推奨するのは控えるべきだろう。

 ―民間事業所や高齢者施設などでクラスターが続発し、死者も増えている。

 新型コロナの特徴は無症状だったり、症状が軽かったりして感染に気付きにくく、知らない間にウイルスが持ち込まれるケースが多いということ。十分に気を付けていても専門的な知識のない一般の事業所や高齢者施設の対策では足りない部分がどうしてもある。死者の大半は高齢者で、高齢者の感染がいかに危険かを改めて示したといえる。

 ―秋以降は感染拡大の恐れが高まるとされる。

 気温が下がり、空気が乾燥すると飛沫が飛びやすく、ウイルスの生存期間も延びるというデータがある。加えて、寒さで換気の回数が減ったり、感染対策に緩みが出たりすることもあり、感染しやすい条件がそろっていることが影響しているのだろう。

 ―今後の見通しは。

 現状では感染者がさらに増える可能性が高い。幅広い年代に感染が広がっているという状況からは、市中にまん延している恐れも拭えない。このままでは医療機関の受け入れ病床が足りなくなる可能性もある。

 ―県民に求めることは。

 人と人との距離の確保、「3密」(密閉、密集、密接)回避、マスク着用、手洗い励行という基本的な感染防止策の徹底を心掛けてほしい。それが自分を守り、さらには家族や祖父母など大切な人を守ることにつながる。

(2020年11月23日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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