「OCIT」クラスター対応成果 県専門家チーム、現地で直接医療

クラスターが発生した施設での活動内容を協議するOCITメンバーら=昨年12月、倉敷市内(県提供)

 新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)発生に対応する岡山県独自の専門家チーム「OCIT(オーシット)」が成果を上げている。昨年9月の発足以降、福祉施設や事業所など40カ所で活動。同12月からは現場で直接医療を提供できる体制も整え、県は「環境の変化に敏感な高齢の感染者の負担軽減や入院病床が埋まるスピードの緩和にもつながっている」とする。

 OCITは、県内の主要病院の医師や看護師のほか、疫学・公衆衛生学の専門家ら1チーム最大7、8人で編成し、感染拡大の防止や疫学調査、感染者の入院の要否を判断するトリアージ、医療提供などを展開している。県によると、これらの領域を網羅した一体的な活動は全国的にも珍しいという。

 発足当初は主に施設での感染対策を担ってきたが、県内ではクラスターの続発によって昨年12月10~16日の病床使用率が47・7%に達したため、入院調整に時間を要することなども念頭に、現地で医療提供を行う新たな機能を加えた。

 医療提供は同月、計67人が感染して県内2番目の大規模クラスターとなった倉敷市内の高齢者福祉施設で初めて実施。11日間にわたって医師が常駐し、トリアージをはじめ、投薬などの治療に当たった。

 高齢者は重症化リスクが高く、無症状や軽症でも入院が原則とされるが、県などによると、20人以上が入院することなく施設内で療養。同施設の看護師や介護士らの協力で、いつものメンバー、場所での生活が可能となり心身の負担軽減につながったという。同施設は1月中旬に収束を発表した。

 「全員が即入院していたら、病床の逼迫(ひっぱく)状況の悪化はさらに深刻化していた可能性が高かった」と県の担当者は言う。医療提供は10日現在、別の3施設で実施中だ。

 県新型コロナウイルス感染症対策本部は「ひとたび大規模なクラスターが起きれば病床は一気に逼迫する。発生施設によって状況が異なり、手探り感は否めないが、今後も限りある病床を有効に活用できるよう取り組みたい」としている。

(2021年02月17日 更新)

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