(7)超音波検査について 岡山済生会総合病院中央検査科生理機能検査主任 安梅努

チーム全員で確認しながら行う経皮的ラジオ波焼灼術

造影超音波検査の画像

安梅努氏

 超音波検査(エコー検査)は、人の耳に聞こえないほど高い周波数の音(超音波)を体にあて、反射してくる音を画像として表示し検査するものです。妊娠時に胎児なども見ることができ、手軽で安全な検査です。

 肝臓病の超音波検査では、肝臓の中が普通の人より粗雑に見えたり、肝臓に影ができていないかなどを調べます。もし影があれば、その詳細な場所や大きさ、個数などが分かります。

 CTやMRIなども画像検査ですが、同じ肝臓の写真を撮っても検査方法が違い、その画像も異なります。どの検査も実際に肝臓を切ることなく肝臓の切断面を見ることができますが、それぞれ一長一短があり、どの検査が一番いいとは言えません。これらの検査は相互に補いながら使い分けていく必要があります。

 ■造影超音波検査

 超音波検査においても他の画像検査(CT/MRI)同様に造影剤を用いながら検査をすることができます。他の造影検査に比べ、リアルタイムで造影剤が肝臓に入ってくるのを見ることができます。肝臓にできた影(腫瘍)の染まり方を観察し、その性状を判断していく検査です。

 ■超音波による肝硬度測定(超音波エラストグラフィ)

 超音波を使い肝臓の硬さを計測できるようになりました。慢性肝炎から肝硬変に進行すると肝臓の繊維化が進み肝臓が硬く変化していきます。その進行状態を超音波を使って体の外から分かるようになりました。繊維化が進んだ肝臓はがんができる確率が高くなるので、その危険度がある程度分かるようになりました。

 ■経皮的ラジオ波焼灼術

 当院では超音波下での経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法を行っています。肝臓にできたがんの治療法の一つで、超音波で肝臓を観察しながら電極の針を肝臓がんに刺し、ラジオ波を針先に発生させてがんを焼く治療です。おなかを切る手術などに比べ患者さんへの負担が少ない治療法です。

 治療には数人の内科医と看護師、臨床工学技士、臨床検査技師が立ち合い、内科医は実際の治療手技を行い、看護師はその手技のサポートを、工学技士はラジオ波の装置を操作し、検査技師は超音波装置の操作を行い、チームで治療を行っています。大きなモニターに映し出される超音波の画像をチーム全員で見ながら、安全確実な治療を行っています。



 岡山済生会総合病院(086―252―2211)

 あんめ・つとむ 岡山大学付属医療技術短期大学部卒業。1991年から岡山済生会総合病院中央検査科勤務。生理機能検査主任・超音波センター所属。日本超音波医学会認定超音波検査士(消化器・循環器・血管・体表臓器領域)。

(2021年05月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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