倉敷の児童 62%が近視 川崎医福大・高崎特任教授ら調査

 川崎医療福祉大(倉敷市)の高崎裕子特任教授(視能学)のグループが、同市内の児童約千人に行った調査によると、62・0%が近視になっていることが分かった。原因の一つとみられるのが、スマートフォンなどデジタル端末の使用で、高崎特任教授は「近視も強度になると、将来眼病になるリスクが高まる。外遊びを増やすといった対策を取り、子どもの目の健康を守ってほしい」としている。

 市教委と連携した調査は2017年10月~20年2月、市内の中庄小と庄小の児童のうち、希望した1054人を対象に実施。薬などを入れず自然な状態で、近視の程度を示す屈折値を専用機器で測定したほか、スマホの使用時間といったアンケートも行い、有効な1019人分のデータを分析した。

 学年別でみると、1~3年生は55・0~61・6%だったのに対し、4~6年生は62・9~71・9%。高学年になるほど近視の割合が高い傾向が分かった。

 スマホの使用頻度を尋ねたところ、「毎日」と答えた児童は56・0%。1日の使用時間は「1、2時間」が84・8%、「3時間以上」は9・9%だった。

 近視を防ぐには、1日に2時間以上、屋外にいることが効果的とする研究もある。放課後に屋外で過ごす時間を尋ねたところ、「0~1時間未満」が27・2%だった。

 川崎医科大総合医療センター(岡山市)の長谷部聡眼科部長によると、近視には、目から30センチ未満の距離で作業する「近業」と「遺伝」が関係しているという。高崎特任教授らは「デジタル端末を使う場合も30センチ以上距離を取ることを心掛けてほしい。今後も近視の進行と生活習慣の関係を探る研究を続けたい」と話している。

 近視 眼球が前後に伸びすぎることで、ピントが網膜よりも手前に合い、近くは見えるが、遠くはぼやけてしまう状態。近視が進むと治療が難しく、失明に至ることもある黄斑変性症、緑内障などを発症するリスクが高まるとされる。高崎特任教授によると、国内で子どもの近視に関する調査は数例しかないが、WHO(世界保健機関)は2050年に世界の2人に1人が近視になると推計している。小中学生に1人1台のデジタル端末を配備する「GIGAスクール構想」を進める文部科学省は今年4月から、児童生徒の近視の実態調査を進めている。

(2021年05月20日 更新)

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