新見市消防 ドクターカー試行運用 倉敷中央病院と協力 搬送中に処置

新見市消防本部が試行運用を始めたドクターカーの車内の様子(倉敷中央病院提供)

 新見市消防本部は6月から、重篤な患者を受け入れている倉敷中央病院救急救命センター(倉敷市美和)と協力し、医師らが救急車に同乗する「ドクターカー」の試行運用を始めた。患者搬送中の救急車とセンター側の車両が途中で合流、医師が救急車側に乗り込み、医療行為を続けながら専門医療機関に運ぶことで患者の生存率向上などにつなげる。

 市消防本部によると、新見エリアは県南の医療機関まで搬送に約1時間かかるため、急患の重症者が出た場合は現在、医師がヘリコプターで患者側に駆け付け、処置をしながら運ぶ川崎医科大付属病院(倉敷市松島)などが運営する「ドクターヘリ」を活用。出動要請は急病や交通事故で年間約70~80件に上るという。

 一方、夜間や悪天候時はヘリが出動できず、救急車で新見市中心部の医療機関へ運び込み1次処置をした後、重篤な患者を診る県南の病院へ転送する措置を取っており、本格的な治療開始まで時間がかかることが課題となっている。

 ドクターカーは、新見市側の救急車が患者搬送の際、倉敷市側から医師が乗り込んだ車両にも同時に新見方面に向かってもらい途中で合流。医師が救急車内でエコー検査や薬剤投与などを行いながら同センターなど倉敷側の医療機関に搬送する仕組み。

 当面はドクターヘリが運航できない平日午後4~10時に大けがを負う患者が出た場合に要請するが15日現在、利用する事態は起きていない。

 市消防本部では、各種事案で年間約1600件の救急車出動があり、同本部警防課は「早期受診が可能となり、地域間の医療格差解消につながるはず。本格運用に向けて検証を重ねたい」としている。

(2021年06月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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