妊娠希望の女性は風疹抗体検査を 子の先天性障害報告で県呼び掛け

妊娠を希望する女性らに風疹の抗体検査を呼び掛ける県のチラシ

 母親が妊娠初期に風疹に感染することで、生まれた子どもに難聴や心疾患といった深刻な障害を引き起こす「先天性風疹症候群(CRS)」が今年、岡山県内で1人報告されていたことが県への取材で分かった。妊娠を希望する女性らは風疹に抗体があるかどうかを調べる検査を無料で受けられることになっており、県健康推進課は「赤ちゃんを守るため、パートナーらを含めてぜひ検査を。抗体が十分でない場合は予防接種も検討してほしい」と呼び掛けている。

 県によると、CRSと確認されたのは男児で、1月に報告があった。報告制度が始まった1999年以降、県内では2004年までに3人が確認され、男児が4人目。風疹は多くの人に発疹や発熱、リンパ節の腫れなどが現れるが、症状のない人が一定数おり、男児の母親も妊娠中に風疹とは診断されていないという。

 風疹は感染力が強く、せきやくしゃみ、会話による飛沫(ひまつ)によって広がる。女性が妊娠20週ごろまでに感染すると、胎児の器官や臓器に影響し、CRSが生じる恐れがある。現在は男女ともに幼児期に予防接種が行われているが、1979(昭和54)年4月1日以前に生まれた男性のように予防接種の対象とされなかった世代があるほか、接種していても年数がたって抗体が低下した例も少なくない。

 そのため、県、岡山、倉敷市はCRSの予防に向け、妊娠を希望する女性と同居家族を対象に抗体検査を無料実施。検査で抗体が不十分だと分かった際のワクチン接種についても、各市町村が費用の全額または一部を補助する制度を設けている。検査は過去に接種を受けていないことなどが条件。妊娠中はワクチン接種ができない。

 問い合わせは県健康推進課(086―226―7331)などへ。

 今年の県内の風疹患者はゼロ(6月27日時点)だが、13年(年間76人)や18年(同29人)には流行している。CRSは全国で20年までに69人が確認されている。

(2021年07月09日 更新)

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