正しい情報を基に判断を 12~15歳のコロナワクチン接種

「打つ場合も打たない場合も、メリットとデメリットを正しく理解した上で判断してほしい」と話す尾内特任教授

 12~15歳への新型コロナウイルスワクチン接種について、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会担当理事を務める尾内一信・川崎医療福祉大子ども医療福祉学科特任教授は、重篤な副反応のリスクは他世代と同程度だと説明した上で「集団免疫を確保するために接種は必要だと考える」とする。インターネット上にあふれる誤った情報が保護者の不安をあおっているとし「正しい情報を基に接種するかどうかを判断してほしい」と呼び掛ける。

 ―12~15歳への接種をどう考えるか。

 接種により、子ども自身の感染や、自身が周りの人たちに感染させることを防げる。慢性の呼吸器疾患など基礎疾患がある場合には、重症化を予防する効果も期待できる。

 昨春以降、子どもたちは学校が臨時休校になったり、修学旅行や運動会といった学校行事が制限されたりしてストレスをためており、こうした精神面への悪影響を抑えることにもつながろう。

 コロナを封じ込めるにはワクチン接種を普及させるしかない。もちろん接種は強制ではないが、集団免疫を確保するためには必要だと考える。

 ―接種のリスクは。

 主な副反応は「発熱」「接種部位の痛み」「倦怠感」で、年齢が低いほど症状が出やすいとされている。これらはいずれも、体内に入ってきた異物を排除しようとする免疫機能の反応に伴って起きるものだが、若い世代の方が強く反応するためだと考えられる。

 一方で、アナフィラキシーなどの重篤な副反応のリスクについては、子どもが他の世代より大きいとの報告はなく、これまでの臨床試験でも安全性は16歳以上と同様に確認されている。

 ―それでも保護者の間には接種に対する不安が少なくない。

 インターネット上などに誤った情報が拡散されており、不安をあおっているように感じる。こういった情報は遮断するべきだ。

 打つ場合も打たない場合も、厚生労働省や日本小児科学会のホームページ(HP)を参考にしたり、かかりつけ医に相談したりして、メリットとデメリットを正しく理解した上で判断してほしい。

(2021年08月02日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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