風疹抗体検査のクーポン利用低迷 岡山県内、40-50代男性対象

岡山市が配布したクーポン券とチラシ。風疹の抗体検査とワクチン接種を無料で受けられる(画像の一部を加工しています)

 風疹の予防接種を受ける機会がなかった全国の40、50代の男性を対象に国が市町村を通じて配布した抗体検査・予防接種の無料クーポン券について、岡山県内の利用率が約2割にとどまっていることが分かった。検査で抗体が十分でないと判明すれば、ワクチン接種を受けられるが、利用期限は本年度限り。県は「自分がかからないだけでなく、周りにうつさないためにも、まずは検査を受けてほしい」としている。

 対象となっているのは、1962(昭和37)年4月2日~79(同54)年4月1日に生まれた男性。同時期生まれの女性は中学校で集団接種が行われたが、男性はなかった。そのため抗体保有率が他の世代に比べて低いと報告されており、国は2018年度に風疹が流行したのを受け、19年度からクーポン券を配布、21年度までの3年間、抗体検査と予防接種を無料で受けられるようにした。

 実際、県内で18年度以降に確認された風疹患者は計33人いるが、うち32人は男性で、40、50代が約6割を占めている。

 一方、県内のクーポン券の配布対象者は約21万人。国のまとめによると、今年3月末までに抗体検査を受けたのは約4万5千人、21・1%(全国平均19・6%)にとどまり、およそ5人に4人は受けていない計算になる。一部自治体では本年度に入っても配布が続いていることを加味しても、「利用が低調なのは確か」と県健康推進課。検査後にワクチンを接種したのは約1万1千人だった。

 利用率が低い理由ははっきりしないが、働き盛りで検査に行く時間がない▽今は流行していないため、自分ごととして考えていない▽ほかの郵便物に紛れ、クーポン券の到着に気付いていない―などとみている。

 風疹は感染力が強く、飛沫(ひまつ)によって広がる。多くの人に発疹や発熱、リンパ節の腫れが現れ、脳炎といった重い合併症が起きることもある。妊婦が感染すると、生まれた子どもが難聴や心疾患などの「先天性風疹症候群」になる恐れがあり、同課は「風疹はワクチンで防げる病気。対象者は父親や祖父に当たる世代なので、妊婦の感染予防にもつながる」としてクーポン券の利用を呼び掛ける。

 紛失した場合、市町村の予防接種担当部署に連絡すれば再発行してもらえる。2週間空ければ、新型コロナウイルスワクチンも打てる。

(2021年08月09日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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