【記者が行く】小児救急電話相談(♯8000)すぐつながる? 夜11時までは3回線対応

「♯8000」の利用を呼び掛ける県のチラシ

 看護師らが夜間、子どもの病気やけがの相談に応じる「小児救急医療電話相談(♯8000)」。急な発熱などで焦る保護者の心の支えとなる窓口だが「つながりやすい時間帯と、そうでないときがある」との声を聞いた。相談体制はどうなっているのか。運営する岡山県に尋ねた。

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 小児救急医療電話相談は、急な発熱、打撲といったおおむね15歳以下の不調に関する相談に応える。県が国とともに積み立てた基金を活用して運営。短縮番号「♯8000」か「086―801―0018」にかけると、看護師や医師と会話ができる。

 岡山市在住の保護者に取材すると「明け方、おなかが痛いと言い出した長男の症状を相談しようと利用した。すぐにつながり、安心できた」(NPO法人代表の40代女性)と言う一方、「1歳の長女の発熱で夜11時ごろから6回かけたがつながらず、困った」(20代の女性会社員)との声も寄せられた。

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 県医療推進課によると、相談が集中するのはおおむね夕食後から就寝時間に当たる午後7時台から10時台。このため肝心の回線は、毎日午後11時まで3回線で対応している。

 もともと2004年度に1回線で始まり、「つながりにくい」といった声を受けて13年9月に2回線、19年1月に3回線に拡大。担当者は「それでもつながらないのは回線がすべてふさがっているときで、時間を置いてかけ直して」と理解を求める。相談件数がさらに増えるようだと回線の追加も検討するという。

 午後11時以降は1回線となり「1件の相談時間が長いと、どうしてもつながりにくくなる。時間短縮のため、慌てず症状を伝えることにも協力してほしい」と話す。

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 年間の相談件数は、保護者への周知が進んで増加基調だったものの、新型コロナウイルス禍の20年度は前年度比42・5%減の9977件。1日平均では27・3件。同課は「具合が良くないと気づいた保護者がコロナの心配もあって早めに対応しようと日中に受診させ、夜に何らかの症状が出ても様子を見たケースが多かったのでは」と推測する。

 相談内容は発熱、外傷、嘔吐(おうと)、異物誤飲、頭部打撲などが多い。看護師らは症状に応じて医療機関に行くよう勧めたり、応急処置を助言したりしている。受付時間は平日が午後7時~翌午前8時、土日祝日は午後6時~翌午前8時。相談は無料だが、通話料は保護者が負担する。

 軽症の子どもが小児救急に集中し、医療に過重な負担がかかるなどの事態を防ぐのがそもそもの狙いだ。折しもコロナ患者の増加に伴って医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、県は明らかに緊急を要するケース以外、まずは♯8000を利用するよう呼び掛けている。

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(2021年09月07日 更新)

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